こんにちは。SOLの余語です。
前回は、昨年度の帰国生大学受験セミナーの生徒で、オーストラリアやフィジーの高校を卒業してから受験準備を本格的に始めた2人がどのような理由で受験を高校卒業の次の年度にすることにしたのかということを説明しました。そこでは、上の2つの国に加えて、同じように単身留学生の多いニュージーランドの日常生活や学習に関する環境についてもふれていますので、これらの国に単身留学を考えている人に参考にしてもらえればと思います。
さて、帰国生が高校卒業の次の年度に大学受験を繰り越すことについては、高校を卒業した翌年の4月に大学に入学できなかった帰国生には帰国生入試などで受験資格が与えられず、一般入試を受験しなければならないのではないか、そして一般入試の多くは古文や漢文、日本史などといった海外の学校では学ぶことのない科目が含まれているため、帰国生にとっては不利な状況になるのではないかと考える人もいるかもしれません(この2つの考えのうち、後者については必ずしもそうとは言い切れないケースがありますが、それについては今後の記事で扱います)。確かに、帰国生入試やAO入試は特別入試制度と分類する大学がほとんどですので、このような疑問には一定の妥当性があるようにも思えます。
しかし、現状では帰国生入試に限定しても、少なくとも海外の高校を卒業している場合、高校卒業から大学入学までの期間が2年以内なら受験を認めているところが多くあります(高校を卒業してから大学入学、もしくは出願手続きの締め切り日までの期間が1年以内の人にしか出願資格を認めない有名私立大学は早稲田大学や青山学院大学、立教大学といったところです)。また、その他の入試制度では、例えば中央大学の法学部や商学部の英語運用能力特別入学試験のように、高校卒業から大学入学までの期間がどれくらいかということが特に問われていないものもあります。これらの事情から、どのような学問を学びたいと考えていても、十分な数の受験する大学を確保することが可能です。
実際に、この記事の主役である2人のうちの1人は人々が共生するためにはコミュニティをどのようにデザインすべきかということを学びたいと考えており、横浜市立大学を第一志望として選んだ他、上智大学や明治大学にも帰国生入試で出願しました。また、もう一方の生徒は英語やスポーツ科学に関心があり、同志社大学や関西学院大学、関西外国語大学を志望校に選びました。それぞれが受験校とした大学の帰国生入試には、出願資格を得るための条件の一つとしてTOEFLやTOEICといった英語運用能力試験のスコアで一定以上の水準が設定されていたり、英語試験の代わりとしてこれらのスコアの提出が求められていたりするところがありましたので、2014年の12月から翌年の6月までの時期は2人ともTOEICのスコアを上げるのに専念しましたが、その様子はまた次回の記事でお伝えしたいと思います。
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2015年度帰国生大学受験セミナーの現場から見えたことvol. 2 ―帰国生大学入試についてvol.230―
(2016年4月22日 14:10)