こんにちは。SOLの余語です。
前回は、インターネット上の辞書で利用している人の多いweblioと電子辞書を比較して、どちらの方が英語学習のための道具として望ましいのかということを考えてみました。確かに、インターネット上の辞書は数年前に比べて内容が充実したものになってきている印象を受けましたが、それでも入手できる情報(そして、その中でも英文を読んだり書いたりする際に有用なもの)の量が十分ではないと思います。
さて、僕がインターネット上の辞書を英語の学習で利用すべきでないと考える理由には、そのコンテンツの良し悪しといった観点以外からのものもあります。それは、そのコンテンツにアクセスするのが大変容易であるだということに関係したものです。僕は学習を効率的に進めることに対して否定的な立場を採っているわけではないのですが、利用のしやすさということだけに目が向くと大事なものが失われる場合があると考えています。
インターネットで何かを調べる場合、必要最小限の(と僕らが考える)時間のみを使って確認できるものだけを見てパッと切り上げてしまうということはよくあることだと思います。このような行動を取ってしまうのには、インターネット上のコンテンツは手軽にアクセスできるものだという一般的な認識があり、また実際にそのような経験ができる事柄があるということが背景にあると僕は考えています。このような姿勢で物事を調べるのは時間的な余裕がない場面では問題ないと思いますが、辞書の場合にはあまり望ましいこととは言えないというのは、これまでに掲載してきた記事(例えば、「英語学習の勧めvol. 12」)で述べてきたとおりです。
また、最近、僕はThe Universe of English Ⅱという以前、東京大学で使われていた英語の教科書を読んでおり、今朝、confineというよく「制限する」という意味の動詞として用いられる語が「境界、範囲」という名詞として(within the confines of ~という形で)使用されているのを目にしました。このような用いられ方を理解するには最低限の文法に関する知識に加えて、辞書をじっくりと調べる姿勢が必要になります(confineのこの用法は辞書のこの語に関する説明の下の方にちょこっとだけ出てくるものですので)。これは出てくる頻度の低い例かもしれませんが、高いもので時間をかけて調べることが必要になるものはいくつもあります(例えば、masterという語の「芸術の巨匠の作品」という意味など)。
語の意味だけでもじっくりと調べないとわからないことがあるということを考えると、その語の文中での用いられ方や関連した成句などを理解するには腰をじっくり据えることが必要になるということでしょう。このような姿勢が必要になる場面では、インターネットというメディア(に対する僕らの持つ一般的なイメージ)は相性がよいものとは言えないと思います。
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SOLお勧めの電子辞書について(2016年3月版)vol. 3 ―英語学習の勧めvol.148―
(2016年4月13日 14:30)