こんにちは、SOLの余語です。
前回は、英語試験において出題される問題に特色があるものの一つとして、青山学院大学文学部英米文学科が行なう自己推薦入試の英語小論文試験を取り上げました。この試験では参考にできる文章が付いていない上に、帰国生の中には意識的に行なったことのない人がいる英語学習の方法や注意点を説明するものになっていますので、外国語学習に関する新書などを読んで、自分の記憶を掘り起こしたり、このような分野に関する知識を蓄積したりすることが望ましいと言えます。
さて、今回は英語試験のあり方に特徴があるものを紹介するシリーズの最終回として、上智大学外国語学部英語学科の筆記試験について述べたいと思います。この試験は英語の長文読解、時事問題に関するエッセイ、リスニングといった3つの形式の問題で構成され(それぞれに30分の時間制限が付いています)、帰国生入試やAO入試には珍しくリスニングのテストがある点でも特色があるものになっていますが、その他にもこの学科独特と考えられるものがあります。
その一つが、英語運用能力だけでなく、日本語運用能力も重視されるという点です。日本語を年齢相応な水準で正しく使いこなせる人が高く評価されるということは、これまでに僕らが指導してきた合格者の顔ぶれや全体の内訳を見ると、上智大学の人文科学系の学部に共通して見られる傾向ですが(この点については以前に上智大学文学部英文学科の試験について説明した記事でも言及しました)、TOEFL iBTで75点が取得できるぐらいの英語運用能力の人からも合格者が出ていることを踏まえると、この学科でもそれに変わりはないと言うことができます。そのため、長文読解問題で出題される和訳問題や日本語での説明問題では英語を直訳するだけでは十分ではなく、日本語として自然な表現に移し替えることが求められる場合がありますし(むしろ、英文の意味が十分理解できないまま機械的に逐語訳したものではなく、英文の意味を的確に移した達意の日本語で表現することが求められています)、ここで問題文とされることの多い外国語学習に関わる様々な問題に関する日本語の本などを読むことによって専門用語を使えるようになっておくことを対策の一つとすべきです。
また、時事問題に関するエッセイについては、このような問題が出題される多くの私立大学で内容よりも文法や単語・表現の使い方に重点を置いて採点がなされる一方で、この学科では内容に深みのある文章を書くことができる人が有利となります(国立大学では東京大学や一橋大学が同様ですが、私立大学の入試においては早稲田大学や中央大学法学部のような難関大学においても一般的な話ではありません)。このようなことを考えると、この学科の受験を予定している人にとって日本語小論文の学習をすることも受験に向けた準備の中で必要不可欠なものであると言うことができるのだと思います。
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上智大学外国語学部英語学科の帰国生入試における筆記試験について(2013年度) ―英語学習の勧めvol.139―
(2013年8月7日 15:35)