こんにちは。SOLの余語です。
最近、「帰国生大学入試について」で帰国生を対象とした特別入試制度を紹介したり、首都圏の難関私立大学の出願手続きに向けた準備をする生徒のサポートをしたりしている関係で、各大学のHPを見る機会が増えましたが、その中で国際基督教大学(ICU)の2015年4月入学者を対象とした一般入試における試験科目や形式に対する変更に関するお知らせが目を引きました。
ICUの一般入試では、これまで人文科学に関連する文章を読み、その内容や世界史などに関する問いに答える試験や英語試験、大学生が就職活動時に受験するSPIに類似した試験に加えて、社会科学、もしくは自然科学に関連した試験が筆記試験の科目となっていました。これらの試験ではその他の大学の一般入試でよく見られる、特定の科目に内容が限定されたものではなく、受験生の総合的な学識を測ろうとするユニークなものでしたが、全ての問題の解答を記号で答えるという形式のものでした。
しかし、2015年4月に入学する人を対象とした入試からは、2つの形式から1つを選択して受験することになります。そのうち、A方式と呼ばれるものでは、人文・社会科学、もしくは自然科学についての試験や英語試験に加えて、「総合教養」という受験生の知的好奇心や批判的思考能力を問う試験を受験することになり、B方式では「総合教養」、TOEFL iBTなどの英語運用能力試験のスコア、面接試験で合否が判定されることになります。そして、この新しく設けられた「総合教養」という試験は記号式の問題の他に、特定のテーマに関する講義を聴いた上で小論文を書く問題が含まれる予定のようです。
B方式の試験は帰国生入試と同様の試験形式で、これが導入されることにより僕らの生徒がICUに入学できる機会が増えるであろうことも嬉しいのですが、指定校推薦入試やAO入試を除いた全ての4月入学者を対象とした入試で小論文試験の受験を求めるという決断をICUがしたことが印象に残ります。日本の新聞やテレビではAO入試などに対する風当たりが強く、そこで試験の一つとされることの多い小論文試験についても受験生の学力を測るのに適切なものなのかという点で批判がなされる一方で、ICUのように小論文試験を積極的に活用しようという動きが一部の有名国立大学や私立大学で広がってきています(例えば、慶應義塾大学は今年からセンター試験の成績で合否がなされる入試を廃止し、一般入試の受験生全員が小論文試験を受けることになりましたし、京都大学も今後、小論文試験を含む入試を導入する予定であると総長がインタビューで繰り返し述べています)。
受験生の間で人気が高い、これらの大学が上で述べたような動きを見せている背景には、適切な形で小論文試験の準備をすることに望ましい学習効果が期待できるということがあると考えることが可能です。僕らは以前から受験指導の中でも小論文対策のものを優先的に実施していますが、その立場からこの問題に関する考察を次回以降の記事で深めてみたいと思います。
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小論文試験が大学入試の試験科目とされることの意義についてvol.1 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.70―
(2013年8月22日 20:35)