こんにちは。SOLの余語です。
前回は、慶應義塾大学の全ての学部で実施される帰国生入試について、文系学部の合否判断の傾向などをお知らせしました。この入試制度は出願手続き時に提出するSATのような統一試験などの成績で合否が決まるという情報を多く目にしますが、法学部では小論文試験の出来も重要になりますし、その他の学部でも高校の成績や社会的な活動の実績が十分なものでないと高い評価が受けられない場合があることに注意してもらえればと思います。
さて、この大学では帰国生入試以外にも帰国生に門戸を開いている入試制度がいくつかあり、法学部の法律・政治両学科で実施されるFIT入試がその一つです。FIT入試にはA方式とB方式の2つの方式があり、海外の高校を卒業した人は前者に出願することになります(日本の高校に編入し評定平均に関する条件を満たすことができるのあれば、B方式での出願も可能です)が、そこで出願資格を得るために求められている条件としては、高校卒業から大学入学での期間などに関して特別な条件が設定されていない一方で、学業やボランティアや芸術文化活動、スポーツに代表される学内外での活動などに関して優れた実績を上げていることを志望理由書や自己推薦書といった出願手続き時に提出する書類の中で示せることが必要になります。
大学入学までの活動実績としてどのようなものが求められているのかについては、昨年の同時期に掲載した記事でも述べた通り、特別な賞や資格を取得している必要はなく、統一試験や最終試験、外国語運用能力試験で高い成績を修めていることが評価される場合があります(このようなケースでは海外での滞在期間が短い方が有利です)。また、多様な文化的バックグランドを有していることもアピール力の強いもので、SOLの生徒では日本語と外国語が一つネイティブ並みに使いこなせる上に、英語も高校の授業の内容を十分に理解することができる生徒が、その他に特段目を引くような実績がなかったにもかかわらず合格しています。
A方式の合否判定は、出願手続き時の提出する書類の内容の審査である第一次選考と、教員による模擬講義を受けた上でそこで扱われたトピックについての文章を書く論述試験や、5名程度のグループに分かれて行なう討論(2分程度の自己紹介を含む)で構成される第二次選考の結果に基づいて行なわれます。出願者や各段階での合格者の数を見れば分かりますが、第一次審査で不合格となっている人が多くいますので、書類の作成は入念に行なうべきです。また、第二次審査の論述試験やグループ討論においては各年度で(少なくとも新聞紙上や学問の世界において)注目を集めた社会的な問題が幅広く出題されているため、朝日キーワードのような本で大きく扱われているトピックの全てに関して理解を深めておくべきですし、グループ討論では、入ったグループで充実した議論が展開されたかどうかによって合否が左右されるという傾向が見られますので、どのような議論の状況においても、必要とあらば自分が議論を主導できるような能力を身に付けておくことが望ましいと言えます。
この入試制度における出願手続き期間は8月21日から23日まで(国内から郵送する場合は消印有効ですが、国外からは締切日必着です)となります。上でも述べたように、志望理由書や自己推薦書の作成には時間をかけるべきですし、外国語運用能力試験のスコアレポートなど実績を証明するものを提出することが求められていますので、出願に向けた準備はなるべく早く始めるようにしましょう。
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慶応義塾大学法学部FIT入試について(2013年度版)―帰国生大学入試についてvol.187―
(2013年7月9日 20:00)