学習院大学経済学部の帰国生を対象とした入試の英語試験について(2013年度) ―英語学習の勧めvol.137―

(2013年7月24日 19:40)

こんにちは、SOLの余語です。
前回は、出題される問題に関して特色のあるものの一つとして、上智大学文学部英語学科の英語試験を取り上げました。この試験は英文和訳問題を正しい答えを書くのに文学研究における専門用語などに対する理解が必要だったり、和文英訳問題で日本語の文学的な表現を英語にすることを求められたりすることがありますので、文学に関連するものにできるだけふれるようにすることが望ましいと言えると思います。


さて、社会科学系の学部・学科で、その専門領域である学問に対する理解を深めておかなければならないものとしては、学習院大学経済学部の海外帰国入試の英語試験が挙げられます。この学部では以前、TOEFL iBTのスコアが79点以上の人にのみ出願資格が与えられ、それを満たせる人であればほとんど合格していましたし、今でもこれぐらいの水準の英語運用能力があれば合格可能性が高いものになりますが、合否データを見ると受験者の半数近くが不合格になっているので、上のような条件を満たしている人も筆記試験に向けた準備を気を抜かずに行なうべきです。


この入試の筆記試験は英語試験のみで、それも英文和訳問題1問が出題される形式を採っています。この問題で取り上げられる文章は比較的長いもので、全文を和訳することが求められますが、イギリスのエコノミストのような経済誌の記事から引用されたものが出題されることが多く、自然な形で和訳を行なうには日本語と英語の構造の違いに注意するだけでなく、経済の専門用語や概念などで理解できるようになるための取り組みをしておくことが理想であると言えます。これは、例えばcost-effectiveは「費用に見合った効果が望める」と言うよりは「費用対効果が高い」と訳した方が経済学に関連した文章らしくなりますし、この点ではa quantum increase in productivityを「生産性の飛躍的な向上」とするのも同様の効果が期待できます。


そのため、この入試の対策を高い得点が望めるものにするためには、前回紹介したものと同じで、日本語で経済学やこの分野に関連する社会的な問題を取り扱った新書(例えば、大竹文雄氏の『経済学的思考のセンス』など)を読んで、専門的な用語や概念に親しみを持っておく必要があるということになります。そして、これは研究されている学問に関連した文章を問題として出す傾向があるその他の大学や学部・学科の入試に向けた準備に関しても同様です。自分が受験するところの英語試験はどのようなものかを確認して、それにあった対策を取るようにしましょう。


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