こんにちは。SOLの余語です。
前回は、例えばTOEFL iBTで85点から99点の間のスコアがコンスタントに取れる英語運用能力を持っているような、学力的に中間層にいる帰国生について、帰国生入試やAO入試の受験準備で優先すべき学習課題が志望する大学や学部・学科によって異なってくるということを述べました。これは、帰国生入試やAO入試では同じ大学でも学部・学科の間で合格するのに必要な学力や資質に違いが見られるためで、今年度に受験予定の人にはこの点に注意して準備を進めてもらえればと思います。
と言っても、ある大学のある学部・学科でどのような学力が高く評価されるのかというのは、これから受験に向けた学習をしようという人には分かりにくいものです。日本の大学にはHP上で合格者数のデータなどを公表しているところがありますが、そこから受験者の何を評価しているのかということを理解するのは難しいことですし(僕らのように長年、帰国生入試の指導に関わっている人でもこのようなデータから得られるものはそれほど多くないと思います)、実際に受験をした人でも自分の何が評価されて合格に至ったのかは分からない場合が多いと思います。このようなことを考えると、自分の学習の方向性を決定するには、帰国生の大学受験のサポートを行なっている予備校や塾で何らかの指導を受けることが必要になります。
しかし、これは以前にも述べたことですが、大手の塾や予備校では分業制が採用されており、授業を指導している教師が一人一人の生徒を対象に進路指導や学習の方向性に関するアドバイスをすることはほとんどありません。もちろん、このような環境でも教師と進路指導などを担当するスタッフの間では当然、各大学の合格者の学力がいかなるものであったかについて情報の共有が行なわれていることが考えられるものの、生徒の小論文を書く能力は言語化・数値化して他人に伝えることが難しいものです(例えば、漢字がどれぐらい書けるかとか構成がいかに整ったものであるかということは可能ですが、そこで展開した考えがどの程度成熟したものであったかというように文章の内容に関する評価は難しいでしょう)。また、大学によっては志望理由書の内容や高校を卒業するまでの間に行なった活動の履歴などが評価の対象になることを考えると、授業や進路指導などが別々のスタッフによって担当されている環境では、上で述べたような学力の状況にある人が重点を置いて取り組むべき学習課題を正しく絞り込むことができなくなる可能性があるということができると思います。
このため、受験準備を行なう環境を選ぶ際には、その全ての過程に関わっているスタッフがいる、特に小論文の授業を担当している教師が進路指導も担当していることをその基準にすることが受験生活を充実したものにすることにつながります。授業を受けることを考えているところがあれば、この点について必ず確認するようにしてください。
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北半球の高校生の受験準備に関してvol.36 ―帰国生大学入試についてvol.178―
(2013年6月7日 17:25)