こんにちは。SOLの余語です。
前回は、アメリカ以外の英語圏の国々の教育制度(IB Diplomaコースを含む)を採用する高校で学んでいる中で、最終学年に入る前に大学入学資格を取得する見込みがなくなってしまった場合に、アメリカの統一試験であるSATやACTのスコアが代わりに提出できれば、日本の大学の帰国生入試やAO入試では海外の教育制度において大学入学資格を得たと認定されることをお知らせしました。上のような状況の背景には英語運用能力が順調に伸びていないことがあるのが多いので、まずは結果を気にせずにSATなどを受験し(SATなどのスコアが合否に影響を与えるのは一部の大学に限定されます)、その後に英語の学習に力を入れてもらえればと思います。
さて、これまでの記事では、海外生活の中で順調に英語運用能力が伸びた人とそうでない人という学力の状況という観点から見て極端なケースを取り上げて、それぞれが今年度の帰国生入試などの受験に向けた準備として何をなすべきかということを説明してきました。このような形で話を進めたのには、TOEFL iBTで言えば85~99の間のスコアをコンスタントに取ることができるというように、その2つのカテゴリーの中間的な位置にいる帰国生に関しては、志望する大学や学部・学科によって優先すべき学習課題が異なり、英語の学習に力を入れなければならない場合もあれば、小論文試験の対策や出願時に提出する書類の作成、面接試験に向けた準備などを積極的に進めなければならない場合もあるからです。
例えば、同じ早稲田大学の帰国生入試でも、法学部や商学部、文学部、文化構想学部は例年、英語試験の出来が合格するのに最も重要なもので(別の記事で改めて説明しますが、昨年度は英語試験がその前の4~5年のものに比べて難しかったために、受験者間での得点に大きな差が生じず、国語や小論文の試験で好成績を修めた人も合格しました)、TOEFL iBTのリーディングとライティングのセクションの合計が55点をコンスタントに超える英語運用能力が習得できていないのと合格を期待するのが難しくなります。一方で、教育学部や人間科学部ではTOEFL iBT全体のスコアが70点程度の人でも合格していますが、教育学部の学科によって独自の小論文試験や面接試験を実施していますし、人間科学部の面接試験は合否判定に大きな影響力を持つ場合があります。また、政治経済学部のAO方式による総合選抜入試では、TOEFL iBTのスコアが高いにもかかわらず不合格になったり、逆にそのスコアが70点でも合格したりした人がいることから日本語試験の成績が重視されていることが推察されますので、この対策に重きを置かなければならないということになります。
帰国生の中で学力的に中間層に当たる人には、受験する大学や学部・学科をしっかりと選択すれば、早稲田大学のような首都圏の難関大学に関しても合格可能性は十分にあると考えられますが、それを現実のものとするには一人一人がどのようなところへの入学を志望しているかに合わせた形で学習の方針を決めることが大切です。受験準備を進める前に(もしくは、学びたいものが変わった時にはその段階で)自分に必要なものは何かということを確認する機会を持つようにするのが望ましいと思います。
それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。
【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/
北半球の高校生の受験準備に関してvol.35 ―帰国生大学入試についてvol.177―
(2013年6月4日 19:45)