こんにちは。SOLの余語です。
前回は、英語以外の言語と日本語の2つの運用能力が高い人がTOEFL iBTやTOEICといった英語運用能力試験で一定の成果を収めている場合、英語圏の国々の教育制度を採用する高校で学んでいる人が同じ様なスコアや級を取得しているよりも高い評価が与えられる帰国生入試やAO入試があることを述べました。英語以外の言語で年齢相応な文を正しく読み書きできるようになっている人には英語の学習にも取り組んでもらえればと思います。
さて、英語以外の言語を用いて外国語試験を受けたり、その運用能力試験の成績を出願資格を満たすため、もしくはAO入試における自己アピールの材料として用いたりする形で大学受験に臨む際には、小論文を書く(その前提として日本語の文章を読解する)能力をできるだけ高めておくことも受験準備における重要な事項の一つになります。これは、上のような方向性で受験を進めていく場合、外国語試験で英語試験しか実施していない大学を受験校に入れることができず、筆記試験が小論文試験のみの入試の比重が高まるからです。さらに中国語やスペイン語の試験がある入試はドイツ語やフランス語の試験があるものに比較して数が少なくなりますので、海外生活の中でこれらの言語を学んできた人にとっては、小論文試験に向けた準備をいかに充実したものにできるかということがより一層大切なことになります。
実際に小論文を書く能力は、日本語の運用能力に大きな問題がないのであれば、2~3ヶ月の間答案を作成する練習をすれば習得できるもので(ただし、これは練習の質によります)、5・6月に高校を卒業することになる教育制度を採用する高校に通っている人であれば、高校卒業後から準備を始めれば9月から始まる帰国生入試やAO入試の受験に間に合うのが(僕らから見て)通常です。このようなことを考えると、高校在籍中は日本語の文章の読解力を高めることに専念すれば十分で(小論文試験の多くは新書や学問的な文献から抜粋した文章を正確に読み取る能力を試されるものであり、日本語の文章の読解力は小論文試験のあるどの入試においても合格するのに必要不可欠な資質の一つと言えます)、日本に一時帰国する機会がある人には、書店に行って自分が面白そうだと感じる新書を手当たり次第購入して、それを読む時間を確保するようにしてもらえればと思います。
なお、日本はここ10年近く新書ブームが続いており、様々な出版社が一通りタイトルを揃えているのが書店に行くと確認できますが、実際に読んでみるとまとまりのないインタヴュー本であったり、学問的な考察が欠けていたり、極端な場合にはオカルト的な内容のものがあったりします。このような傾向は、新書の出版に最近手を出したところのものでよく見られますので、できるだけ岩波新書や中公新書、ちくま新書といった老舗の出版社が発行しているものを購入するのが望ましいと思います。
それでは、次回からは今年度の帰国生入試やAO入試の出願要項をお知らせする記事を掲載する予定です。今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。
【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/
北半球の高校生の受験準備に関してvol.41 ―帰国生大学入試についてvol.183―
(2013年6月24日 17:20)