今年も青谷准教授のセミナーに参加してきましたvol.11 ―英語学習の勧めvol.132―

(2013年6月18日 20:00)

こんにちは、SOLの余語です。
前回は、京都大学国際交流センターの青谷准教授が英語運用能力向上のための最も効率的な学習法として推奨されている、一定の形式を採ったスピーキングの練習を繰り返し行なうというものを紹介しました。この学習法は言語学習研究の成果を踏まえたものであり、青谷先生が大学の学生の指導を通じて効果を検証されているようではあるものの、実践するのには一定の条件(例えば、学習者自身が文法や語法について十分な知識を持っていたり、日本人の英語学習の指導に関して適切な能力を持っている教師の指導を仰ぐことが可能であったりということです)を満たすことが必要であるという点に注意してください。


さて、ここまで青谷先生が英語学習法のあり方についてお話しされた内容で、帰国生が英語運用能力を上げるのにあたって重要だと考えられるものを取り上げてきましたが、その講演において青谷先生が繰り返し強調されていた、英語の学習を充実した結果が伴うものにするのに最も大切なポイントは他にあります。それは「英語の学習は継続して取り組まなければ意味がない」ということです。


以前にも紹介したように、脳科学や言語学習の研究の分野では、人間の脳は生まれてから5歳までの間にふれた言語の文法や語法などを特別な学習機会を設けることなしに整理する能力があるとされています。ただし、その期間においても1万時間以上一つの言語に接した経験を蓄積できなければ、それを自由自在に使いこなす能力を自然に習得するということはありません。英語のネイティブ・スピーカーですらこのような時間のかかる過程を経ていることを踏まえると、英語に関して上の条件を満たすことのできなかった、外国語として英語と付き合わざるを得ない場合(くどいようですが、帰国生や海外生の多くもこのカテゴリーに分類されます)、高い運用能力を身に付けたいのであれば、最低でも1万時間は意識的な学習を続けなければならないということのようです。


これは言語学習全般に言えることですが、このような取り組みは短期的に成果を実感するということはほとんどなく、そのため継続することが難しいものです。しかし、一定以上の英語運用能力を持っている人であれば、ある地点まで学習が進んだ段階で辞書を調べたり文法に関する本を読んだりすることが「新たな発見」と感じられるようになり、その後は楽しんで学び続けられるようになるという体験をしたということは少なくないはずです。僕としては、海外での生活を自分の成長を促してくれるものにするために、より多くの海外生にそのような楽しみを味わえるようになってもらえればと思います。


なお、SOLでは海外生を対象に英語文法に関する通信指導を行なっていますが、これが継続的な学習になるように(これまで通信指導に6年近く関ってきた経験からすると、学校生活が忙しいといった理由で長続きしない人が多くいます)、スカイプを利用した補助授業も合わせて実施しています。詳細についてはこちらを確認してください。

それでは、今回の内容について、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/


トップへ戻る