こんにちは。SOLの余語です。
前回は、アメリカの教育制度を採用する高校を卒業予定で今年度に帰国生入試やAO入試をする場合、TOEFL iBTのスコアが80点に達しないなど、英語運用能力が順調に伸びていないことが窺われる事情があるのであれば、英語学習とともに日本語での読書に力を入れるべきであることを述べました。これは、英文で内容が理解できるものが増えるという効果だけでなく、筆記試験が小論文試験のみである(もしくは、小論文試験の結果が重視される)大学を中心に受験校の選択をすることを考えてのことです。
さて、IB Diplomaコースやイギリス、カナダ、アイルランドのもののように、英語を主な使用言語とするアメリカ以外の教育制度で学んでいて、英文法の基礎的な事項を確認する機会がなかった、もしくは高校から単身で留学しているために英語を使用する体験の蓄積が十分ではないといった理由で、上のような学習段階にある人は少なくないと思います。このようなケースでも、「帰国生大学入試について」のvol. 167で述べたのと同様に、帰国生入試における英語試験に対応する実力を養うための取り組みをできるだけ早く始められるのが理想的です。
ただし、今年度の大学受験を考えている場合には、これらの教育制度の最終試験で大学入学資格取得のための条件を満たすことのできる成績を取るための学習を優先すべきです(例えば、IB Diplomaコースで学んでいる人の場合、各科目で4点以上、もしくは6つの科目を合わせたスコアで24点以上の最終成績が与えられるような対策をすべきにということです)。英語運用能力の向上が上のような水準で止まってしまっている人が出願時に提出する書類に記載された成績と合否の判断に直接的な関連性のある国立大学や慶應義塾大学の帰国生入試で合格するのに必要なものを取得するのは難しいことですが、自分の通っている高校が採用している教育制度で大学入学資格を取得してさえいれば、受験校として選択できる大学や学部・学科の幅は大きく広がりますし、そこには早稲田大学の帰国生入試のように最終試験の成績によって合格可能性が左右されないものも含まれます。
アメリカの教育制度で学んでいる人の場合、結果がどうであれSATの以前Reasoning Testと呼ばれたものを一度受験すれば大学入学資格を持っていると判断されることを考えると不公平にも思われますが、最終試験対策は学問的な語彙の習得といった点で英語学習の一環だと割り切った形でもよいので、大学入学資格が取得できるまでは、日本で帰国生入試を受験することはいったん忘れて、それに向けた取り組みに専念してもらえればと思います。
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北半球の高校生の受験準備に関してvol.28 ―帰国生大学入試についてvol.170―
(2013年5月9日 19:25)