こんにちは、SOLの余語です。
前回は、英語圏の国々の教育制度で学んでいても英語運用能力を向上させるために必要な英文法の学習について、一つの文を構成する単語にはどのような役割を果たすものがありうるのか、もしくは単語と単語の関係にどのような基本的ルールがあるのかについての理解をまずは深めるべきということを述べました。記事内でこのような学習事項の説明に重点を置いた本も紹介していますので、英語の学習を始めようと考えている人に参考にしてもらえればと思います。
さて、帰国生入試の英語試験で出題されるような学問的な文章を隅々まで理解したり、TOEFL iBTのライティング・セクションで見られるようなトピックについて年齢相応な内容を伴うエッセイを書いたりできるようになるには、上のような基礎的なものを正確に把握しているだけでは十分とは言えず、特に多くの帰国生にとっての母語である日本語には見られない文法事項についての学習をする必要があります。それはジーニアス英和大辞典から引用する以下のような文が示しているものは何かということを考えると理解してもらえると思います。
If it were not for the heat, I would go shopping.
これは日本の英文法教育の中で仮定法と呼ばれるものであり、一見過去の事柄を扱った文に見えるものの、現在の事実とは逆の状態を表すための表現です。このため、この文は「暑くなければ買い物に行くが、実際には暑いので買い物には行かない」という話し手の考えに関するものとなります。このようなシンプルな文でも、仮定法というものがどのようなものか理解できていなかったので、上の文が太字で表した意味まで含んだものであるということをわからなかったという人がいると思いますが、英語試験で出題されるような文章ではより複雑な構造を持つものに突然出くわすことがあり、その場合には混乱する人がさらに多くなる可能性が高いはずです。
英文法の学習については、日本語での説明がある形で行なうのが帰国生や海外生を対象とする場合でも効果的です。しかし、日本で出版されているものは全ての文法項目を網羅的に扱うというものか、特定の文法事項に関する学術書のようなものが大半ですし(多くの人が共通して苦手だったり知らなかったりするものはある程度限定することが可能です)、文法用語が使用されているため更なる解説が必要となるものも少なくありません。また、TOEICのPart5や6、もしくはTOEFL PBT・ITPの文法セクションは英語圏のネイティブでない人が間違いやすい文法項目に関する問題に集中して出題するため、この問題演習を行うことは学習対象を絞り込むという点では有効ですが、しっかりとした解説のついた問題集が洋の東西を問わずほとんどないというのが現状です。このような状況を踏まえると、英語運用能力をできるだけ早く上げておきたいと考える人は、日本に一時帰国する際に予備校や塾などで講習を受けるか、通信指導のようなものを受講するのがよいと思います。
※ただし、海外の高校で学ぶ人が理解するのが難しいと感じる文法事項はどのようなものかといったことや、文法用語を用いた解説よりは例文を用いながらの方が円滑に学習を進めることができるといった帰国生や海外生特有の傾向などを考慮に入れて指導内容やスタイルを決定しているものでなければ、大きな学習効果は期待できません。指導を受けるところを決める際にはこの点を確認するようにしてください。
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今年も青谷准教授のセミナーに参加してきましたvol.8 ―英語学習の勧めvol.129―
(2013年5月28日 19:55)