今年も青谷准教授のセミナーに参加してきましたvol.1 ―英語学習の勧めvol.122―

(2013年4月22日 19:45)

こんにちは。SOLの余語です。
SOLの帰国生大学受験セミナーでは、集団授業を6月から翌年の2月まで実施していますが、その他の時期は日本の高校に編入した人などの個別指導の他に、指導方針の見直しや教材の新規作成といったセミナーの授業の充実を目標とした作業に充てています。その一環として、3月に開かれた京都大学国際交流センターの青谷准教授によるTOEFL iBTの学習法についての講義に参加してきました。


青谷准教授は外国語の学習に関して脳科学などの見地から研究を行なっており、そこで得た成果を自ら実践し、TOEFLやTOEICで満点を取得しているそうですが、僕は「英語運用能力の向上に近道はなく、意識的な学習の蓄積がない限りは達成できない」という考え(最近流行の「聞くだけでよい」という教材には何も意味がないそうです)に賛同し、今までに2回、今回のものと同様の講義を聞きに行っています。この先生の話は海外に滞在する中で英語運用の体験を積み重ねている人にとって重要な意味を持っていると考えますので(個人的にも英語の指導法に関するこれまでの学術研究に目を向けるキッカケとなった点でもこの講義に参加する意義は大きかったと感じています)、この記事では講義の中で話されたことの一部をお知らせしたいと思います。


最新の言語学研究においては、周りの人が行っていることを聞いたり自分で実際に使ってみたりするだけである言語の文法や語法などを整理する能力を人間の脳が有しているのは5歳前後までと考えられているようです。また、生まれてから5歳前後までの間に一定以上の時間(講演では1万時間が一つの基準だと言っていました)ふれたものがその人の言語活動全般に強い影響を及ぼす母語となり、その後に接する他の言語は長期間に渡って接することがあったとしても母語と同等の地位を得ることはほとんどないということも、同様に言語学習を学術的に考える上で重要な意味を持っているとのことでした(今回の講義は大学で言語学を専門としている研究者が多く出席しているとのことでしたが、これらの点については当然、異論や質問が出ることはありませんでした)。


このような言語と人間の関係を踏まえると、脳の性質によって母語と認識されなかった言語の運用能力を高めたいのであれば、「それは外国語である」という意識を持って計画的に学習を進めていくしか方策がないというのが青谷先生の考えです。今回の講義で学習者として想定されているのは日本の中学校や高校で学ぶ人だったようですが、帰国生や海外生の場合でも英語(もしくは、在籍している学校で主に使われている言語)に関して上で述べたような条件を満たすことができていないのが一般的なのですから、その運用能力を向上させるためには、日常生活の中で使っているだけでは十分とは言えず、意識的な学習の機会を確保すべきであるという点では変わりがないのだと思います(なお、英語の学習を進めていく際に注意しておくべき点が今回の講義のメインポイントの一つでしたので、次回以降の記事でそれを紹介する予定です)。


それでは、今回の内容について、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。

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