こんにちは。SOLの余語です。
前回は、indifferentのように単語を構成する一つ一つの要素がよく目にするものであるために、その組み合わせから意味を推測する人が多い一方で、そのような推測と辞書などに掲載されている正式な意味の間にズレが生じることのあるケースをいくつか挙げる形で、英語を学習する際に辞書を引くことの重要性を説明しました。英語圏の国々の教育制度で長期間学んでいる人でも受験準備の中で単語や表現に関する学習を進めていくうちに、その本来的な意味を知って驚くというケースは珍しくないことですので、帰国生や海外生にもこの点に注意をしてもらえればと思います。
ところで、単語や表現の意味や用法に関して、自分の頭の中で了解していることと実際の意味が異なるという状況は、ここまで2回の記事で説明されたものに限定されるものではなく、他には多くの帰国生や海外生にとっての母語である日本語の影響によって生じるものが考えられます。言語学習を脳科学的に捉えると、人間は生まれてから5歳までの間に一定以上の時間ふれた言語を自分の母語とし、それから後は母語の枠組みから抜け出すことが難しくなります。海外に長い間滞在している場合でも、このような条件を満たす言語は日本語である場合が帰国生や海外生に一般的なことで、文法事項で言えばhave doneとhad doneの正確な用法や使い分けがよくわからないという人が少ないのはその表れだと言うことできます。
また、英語の運用に関する日本語の影響は、次のような文を書いてしまう場合にも見て取れます(自分がどの程度、日本語の枠組みに基づいて英語を使っているかが判定できますので、文中にある誤りは何かを考えてみてください)。
In the last scene of the movie a father and his sons bitterly discuss about the past.
One has impulses that are independent from one's conscious intentions.
これらはいずれも帰国生や海外生の人のエッセイを添削している際によく目にするものです。上の文はdiscuss aboutをdiscussに、そして下の文はindependent fromをindependent ofにするのが正しい表現ですが、「議論する」という日本語には通常、「~について」という語が付くためにdiscussの後にaboutを置いてしまうのでしょうし、「影響を受けない」は「~から」と一緒に用いることが多いため、independent ofではなく、independent fromという形にすることが多いのだと考えられます(get out ofなどの表現を見ればofにも「~から」という意味があることが分かりますが、それでもこのような意味で用いる頻度の高いfromを用いることになるのでしょう)。これらの例が示すように、母語である日本語の影響は、海外での滞在経験や英語圏の国々の教育制度の下で学んでいる場合でも強く見られるというのが一般的な傾向です。このようなことを考えると、日本語とは成り立ちが大きく異なる英語の単語の正確な意味や用法を把握するためには、辞書を引くことを習慣化する必要性がより一層高いものになると言えるのだと思います。
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英語学習における辞書を引くことの重要性についてvol.3 ―英語学習の勧めvol.117―
(2013年3月26日 16:45)