こんにちは。SOLの余語です。
首都圏の難関私立大学の帰国生入試やAO入試の出願手続き期間は8月下旬から9月中旬、10月中旬の2つの時期に集中しており、今は早稲田大学政治経済学部や中央大学、青山学院大学などの手続き期間が終了したため、生徒も教師も出願手続きの準備という点では一息ついたところです。
帰国生入試やAO入試の出願は一般入試と比較して、提出が求められている書類が多いですし、志望理由書・活動報告書など作成に時間がかかる書類もあるため、受験生にとって大きな手間がかかるものだと言えます。これに加えて、提出が求められている書類を郵送した後も、大学の入試事務局から出願資格の有無や提出した書類の内容に関して確認の電話があったり、事務局に出向いて追加の書類を提出することが求められたりということが珍しくないので、本来であれば受験準備の学習に注力すべき時期であるにも関わらず、出願手続きを完了するために多くの時間やエネルギーを費やすことになる生徒が毎年います。
このようなトラブルの大半は、以前にも述べたような帰国生入試やAO入試を実施する大学側の海外の教育制度に関する知識の無さに起因するものです(イギリスの高校に通った人が高校での成績証明書の提出を求める大学に11年生から13年生にかけてのものを送った場合に、10年生から12年生にかけてのものの提出を求められるというケースがその一例です)。しかし、今年は事務局の職員(そして、おそらく出願資格の審査を担当する教員)の中に融通が利かない人がいることが原因だと思われる事案がありました。
海外に3年間滞在し、その後日本の高校に編入したS君は自分の持っている書類が有効なものかをある大学に確認するためにその事務局に行きました。彼の持っていた海外の高校発行の書類は全て厳封されていたため、事務局のデスクで開封することになったのですが、そこで判明したのが成績証明書に年度のミスタイプがあり、記載されている内容からすると在籍期間が実際よりも1年短くなってしまうということでした。その他の書類は彼が海外の高校に3学年継続して在籍したことを示唆するもので、日本の高校の編入試験でも問題にならなかったようです。しかし、対応した職員はこれを問題視し、出願資格をそのままでは認定できない可能性があると判断したために、彼は追加の書類を入手するために様々な場所に連絡を取ったり(海外の高校は宗教上の理由で長期休暇に入っており、即時の対応を求めることが難しかったため、編入先の高校などで証明書を作成してもらわなければなりませんでした)、事務局に何度か訪問しそこで書類の理解や資格認定の判断をする能力のない職員の躊躇を前に長時間待たされたりするという羽目に陥ることになってしまいました。
もちろん、大学の職員の中には丁寧な対応をしてくれる人もいることは事実ですが、大学に通ったことのある保護者の方などの間では、在学中に大学事務局の職員とのトラブルを経験したという話は珍しいものではないと思います。帰国生入試やAO入試は出願準備の期間が海外の高校や日本の大学の休暇時期と重なりやすいうえ、制度や考え方の違いから日本の大学が求める書類自体が入手しにくいものであることが多いことを考えると、大学側にも柔軟な対応を求めたいものです。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.16 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.39―
(2012年9月20日 09:55)