こんにちは。SOLの余語です。
帰国生大学受験セミナーの授業も第7週に入り、生徒が共通して取り組む課題や学部・学科別の対策授業で扱ったものを合わせると、多い人で20課題以上の課題で小論文を書いています。その中で僕らが小論文を書く際の基本型としている、問題文の筆者の主張に賛成し、具体例やその補足的な説明、自分なりの考察を書き加えるという形で文章を書くことができている答案を目にすることが増えたように思います。
さて、今回の記事では7月23日から8月3日までに共通小論文の授業で取り上げた問題文の内容をお知らせします。その概要は以下の通りです。
・日本社会における明治維新までの人口の長期的変動は食糧生産量の増減や都市の成立などによって影響を受けていたが、その後、極めて短期間で急激に増加した後、2007年から出生率の低下を理由に減少に転じたことを述べるもの
・生活に必要な物資を一国で充足するより、二つの国がそれぞれの得意分野の生産に注力し、お互いの不足分を貿易で補う国際分業システムを採った方が大きな利益を期待できるが、このシステムは片方の国の経済破綻や紛争などによって機能しなくなるリスクがあり、それを分散という形で低減する必要性があることを主張するもの
・大学生の間での学力低下が問題とされた際に、授業時間と内容を減らすという意味の「ゆとり教育」が詳細な検討もなくその原因とされ、思考停止に陥る傾向が見られることから、現代の日本社会は「学び」を軽視する傾向にあり、その「復権」を目標とすることなしに学力の低下を止めることができないということを主張するもの
・現代の子供が、家庭内労働の減少や超少子化によって祖父母などからもらうお小遣いが増えたことにより、初めての社会活動が消費活動となったことで、自己を消費主体と規定するようになったが、それによる影響が教育を受ける場面で見られるようになったことを述べるもの
前回の記事では、問題文を選定する際のトピックに関する基準を説明しましたが、その内容に関しても一定の方向性を定めるようにしています。それは、その問題文が十分に説得力を持つものであるというだけでなく、論じられているトピックに関して、一般的に耳にすることが多い(新聞やテレビの報道番組で取り上げられることが多い)考えとは異なる観点から論じられたものであるということです。例えば、上の4つ目の文章では、子供の学習に対するモチベーションの低下が問題になっていますが、子供が自らを消費主体として規定することに注目する問題文の筆者の主張と異なり、一般的には教師の能力の低下などがその原因だと考えられています。これも世間で広く受け入れられている主張を「当然のもの」で、その有効性を考察する必要がないものとして扱うことがなくなることが、小論文の内容を深まったものにする能力の習得につながることを期待してものです。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.6 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.29―
(2012年8月8日 15:25)