帰国生大学受験セミナー通信vol.10 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.33―

(2012年8月27日 20:05)

こんにちは。SOLの余語です。
今年も8月も最終週に入り、土曜日には難関私立大学の帰国生入試で最も早く実施される早稲田大学の帰国生入試があります。帰国生大学受験セミナーの集団授業が始まって、あっという間にその後の2ヶ月間が経ってしまったという印象がありますが、生徒と多くコミュニケーションを取り、充実した時間を過ごせたと思います。


さて、以前から全員の生徒が受講する「共通小論文」のクラスで問題文として使用したものの内容をお知らせしてきましたが、7月30日から8月17日までの期間に取り上げた4つの文章の内容は以下の通りです。


・1990年代後半から高等教育機関の数が増えたことなどによって、高等教育機関卒業後にそこで学んだことを活かせるような職業に就くことができるかという点について予測がつかない状況が出来するようになった。そして、それは若者の保守化という問題を生じさせてしまうので対処すべきであるということを主張するもの


・ある社会の人口が増加すると、既得権益を有している人の数が増えたり、人々が重要と考える利益が多様化し、その中には相対立するものが出て来たりする。そのため、このような社会は解決すべき重要性の高い問題が生じても、その対策を実行に移すまでに時間がかかってしまうことを述べるもの


・日本語とクレオール語の比較から、日本文化は「雑種文化」であると言え、外国から様々な文化を取り入れてきたが、それは異質なものから自分の中に同化できるものだけを取り入れたのであり、本来異質なものが持っていた異質性が失われてしまうということを説明するもの


・歴史学においては、古代・中世・近代という時代区分や近代国民国家を重要な「枠組み」とされてきたが、それは歴史学が個人の体験をはるかに超える広大な空間と時間を対象とするものであり、考察する範囲を限定する必要性から人間が作り出したものであることを考えると、絶対的なものとして扱うべきではないということを述べるもの



この授業で用いている教材は、その内容や用いられている言葉などが後半に進むに従って難しいものになっていると生徒の目には映るようで、中には「自分にも理解できるようなものを出題してほしい」という要望を出す人がいます。しかし、今まで考えたことのないような問題にふれたり、言葉や表現の意味を考えたりすることなしには、読解できる文章や社会問題や学問的事項に対する関心の範囲は広がりませんし、思考力が伸長することも望めません。これを考えると、生徒に多少の知的負荷をかけるような文章を小論文の課題とせざるをえませんが、文章の内容があまりに理解できないと、生徒の学びに対するモチベーションが損なわれる可能性がありますので、授業中に内容の確認に多くの時間を割いたり、授業前後に質問に来る生徒に対して文章読解や内容理解がスムーズに行われることを促すようなヒントを出したりするようにしています。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/



トップへ戻る