こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、英語の集団授業で使用する長文読解教材に関して、取り上げている文章の内容や問題の構成などについて説明しました。SOLでは、英文の読解力を伸ばすためには「精読」と「多読」をバランスよく行うことが必要であるという英語学習法の研究で得られた知見に基づいて読解教材を作成するようにしていますが、これは文章の読み方に関するスキルを習得するという英語学習の側面の一つに注目したものです。
読解力は「精読」と「多読」によって身に付けることのできるスキルだけに支えられているわけではなく、単語や表現・構文で意味の理解できるものを増やすことも重要な学習事項となります。この点でも、教材には学習法研究の成果を取り込むようにしており、その一つが、実際に長文の読解を始める前に、そこで用いられている単語や表現・構文の中で、よく使われるものの意味を確認するということです。表現・構文についてはそれが使われている短い文を和訳する課題を出題していますが、単語の意味の確認は以下のような四択問題の答えを考えるという形で行っています。
・Most basic rights, except the right to vote, are accorded to foreigners.
①剥奪する ②与える ③売る ④譲る
・He attained nationwide celebrity by denouncing the convent.
①得る ②失う ③~になる ④評価する
・The voices of two small people do not count for much in this world.
①軽視される ②みなされる ③先送りする ④重要である
このような形で意味を確認するのは1つの文章につき10~15個の単語ですが、長文読解問題に取り組む前に短い文の内容から単語の意味を推測することには、その意味や用法についての理解が学習者に定着することに関して2つの点から効果が望めます。まず、英語学習法の研究においては、1つの文章を読んでいる間に同じ単語や表現に複数回ふれることでその意味を記憶することができると言われています(広く受け入れられている学説によれば、6回以上同じものを目にすることが重要だそうです)。先に文章中の頻出単語や表現・構文の意味を考えておくことによって、それに複数回ふれる機会を確保することにつながるのです。
また、単語や表現・構文の意味についての記憶を確かなものにするためには、それを目にした時に何らかの形で思考することが必要になります。例えば、日本でよく見かける単語の意味を定着させることを学習目標とした教材には、1つの単語に異なる意味の日本語の単語がいくつか付いているというのが一般的なパターンです。学習者の中には、そこに書かれている日本語の単語を全て覚えようとする人もいますが、それよりはそれらの言葉に共通するイメージは何かということを考える方が記憶に残りやすいと言われています。ただし、この学習法は時間がかかり、帰国生は短期間で受験準備をすることを求められることを考えると、その英語学習においては適切なものでない可能性があります。このため、SOLの教材では、短い文の内容から単語や表現の意味を推測するという形で、語彙学習を行う場面で思考してもらうようにしています。生徒の中には、クイズのような形式で語彙学習に臨めることに楽しみを感じている人もいるようです。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.8 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.31―
(2012年8月17日 19:05)