帰国生大学受験セミナー通信vol.3 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.26―

(2012年7月12日 15:10)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、生徒が受験準備を始めた時点での自分の学力を把握するために、SOLで使用している教材の一つである英語の語彙サイズテストを紹介しました。帰国生が習得している語彙量は人によって大きく異なりますので、それを増やすための学習は基本的に自習時間に行う個人別の課題にしていますが、今回は生徒のほとんど全員が参加する英語の集団授業で使用する教材を作成する際の基本的な方針について述べたいと思います。


SOLの英語教材は和訳問題や日本語を用いた説明問題を中心に構成されています。このような方針を採る理由の一つは、帰国生入試の英語試験において和訳問題を出題する大学(例えば、上智大学外国語学部英語学科や文学部英文学科、中央大学法学部や文学部などがそれに当たります)があるということですが、その他にも、そこで出題される学問的な文章の中には、複雑な文構造を持つ文が多く見られるということがあります。このような文の内容を理解することを求められると、英語圏の国々での滞在歴(もしくは、その教育制度を採る教育機関に通った期間)が長く、TOEFL iBTなどの英語運用能力を測定するテストで高いスコアを取ることができる人でも、自分の理解できる単語のみを拾い上げて、自分の頭の中でそれに合ったストーリーを作り上げるという形で、文を読み進めようとすることがあります。


しかし、試験においてよりよい結果を収めることを目標にするのであれば(また大学を卒業後、社会において英語を使用することが求められる仕事に就きたいのであれば)、英文の構造を正確に捉える能力を持つことが必要になります。この点、和訳問題では、文の内容を英語から日本語に移し変える際に、その構造の把握が十分なものでなければ、文の内容に合った日本語文を作成することはできませんので、必然的に文構造のあり方に注意することにつながりますし、それを行うために必要な知識を蓄積することも可能です。これと合わせて、前回の記事で述べた生活体験の蓄積から語彙の意味を理解しようとする傾向が帰国生には見られることを考えると、複雑な構造を持つ文の読解力を向上させるには、和訳練習が最適だと言えます。


なお、和訳練習が学問的な文章を読解する能力を伸ばすために有効な学習法であるとは言え、受験準備を始めたこの時期に3、4行にも及ぶような長文の和訳に取り組むことを困難だと感じる人は少なくありません。そのため、6月下旬から7月中旬にかけては、10語から15語で構成される短い文の和訳問題から徐々により語数の多いものに移っていくという構成を採った教材を使用し、主語や述語、一つ一つの語の関係など、基礎的な事項を確認しながら授業を進め、その後に学問的な内容を持つ長文に取り組むことにしています。このようなカリキュラムによって、できるだけ多くの人に余計なストレスを感じずに、着実な形で英文の精読に必要な素養を習得してもらえればと思います。


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