帰国生入試の受験準備を行うのに最適な環境とは?vol.23 ―帰国生大学入試についてvol.92―

(2012年6月27日 19:55)

こんにちは。SOLの余語です。
前回は、帰国生入試やAO入試に特有な志望理由書を作成する段階で、小論文の教師がどのようなサポートを行うべきかという観点から、受験準備を行うのに最適な環境について検討しました。「人数の多い環境」の適切さを考察してきた「帰国生大学入試について」のvol. 79からの各記事では、筆記試験や面接試験の対策などといった受験準備の中でも合否判定に直接的な影響を持つ(可能性のある)ものを取り上げてきましたが、今回は生活リズムの維持という入試会場で最大限の実力を発揮するために必要なものに注目したいと思います。


これはテレビなどでもよく報道されていることですので、知っている人も多いかもしれませんが、アメリカの大リーグで長年活躍しているイチロー選手はほぼ毎日試合が行われるシーズン中に、食事や球場に入る時間、そこで行う練習などに関して一定の行動パターンを形成し、それに従って試合が始まるまでの時間を過ごすそうです。彼は、ルール化された行動を毎日繰り返すことで、生活リズムの維持し、試合中の集中力を最大限に高めることが可能になるとインタヴューなどで述べていますが、このような考え方はプロ野球の試合と同様に、緊張や不安などから集中することの難しい入試に臨む受験生にとっても大きな意味を持っています。


多くの場合、学科試験の開始時間が9時から10時の間に設定されている帰国生入試やAO入試の会場で最大限の集中力を発揮し続けることを目標にするのであれば、受験準備をしている間も9時半頃に学習を始める時間を決め、それに合わせて一定の時間に起床し、朝食を摂るといった習慣を身に付けておくことが重要です。しかし、高校を卒業するぐらいの年頃で、このように自分を律することに困難を感じた経験を持つ人は少なくないと思われますし、18、19歳の時期は人生の中でも最も体力があり余っている期間であるために、勉強にのめりこんで生活が夜型になってしまうということもあると思います。


また、帰国生の中には、日本の高校に編入したり、海外にいる間に出願手続きに必要な書類を十分に入手することができなかったりしたことで、海外の高校の関係者と連絡を取らなければならなくなることがありますし、そもそも海外に友人が多くいるという場合も多いため、時差のある地域の時間に合わせて過ごす日があるという人がいます。このようなケースで連絡の相手方が時差の小さい地域にいれば、生活にそれほど大きな影響は出ないのですが、欧米の国々の昼間の時間に合わせることになると、日本では夜遅い時間まで起きていなくてはならなくなり、生活リズムを一定に保つことが難しくなるはずです。


実際に、生徒の多い塾や予備校では、自分がいてもいなくても全体に影響はないと感じられる規模や人間関係の中にいるうえ、教師の目も個々人に向けられにくいため、生徒が欠席や遅刻をすることに罪悪感を抱きにくいことがあり、生活リズムを崩してしまう人がいるという話はよく耳にします。しかし、生活リズムを安定させることは受験生活を充実したものにするためには必要不可欠なことで、周りにいる大人は十分なサポートを行うべきです。この点でも、受験準備を行う場を選ぶ際には、生徒数に合わせた数の教師が確保できているかを確認すべきでしょう。


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