こんにちは。SOLの余語です。
前回、前々回の記事では、受験する学部や学科を選ぶということについて、できるだけ多くの小論文課題に接し、自分の学びたいことや学問的な適性を把握しておくことが大きな意味を持つということを述べました。この点を考えても、オーストラリアやニュージーランドの高校に単身留学している人にとって、最終学年が始まる前の休暇期間から受験準備に取り組むことが望ましいと言えます。
さて、今年も1月の終わりに近づいてきましたが、SOL帰国生大学受験セミナーの2012年11月卒業生を対象としたコースを受講した生徒は、先週で12月・1月の授業の受講を終え、次は3月下旬から4月中旬にかけて日本で受験に向けた準備を行う予定です。再度、一時帰国するまでの期間は、高校の授業やそこで出される課題などに対応することで手一杯で、他のことをする余裕がないという人もいるかもしれませんが、そのような厳しい状況にあっても、TOEFL iBTやTOEICの受験や対策学習を含めた意味での帰国生入試の受験準備をコツコツと行っていく必要があります。
それは、これまでの記事で述べてきたように、単身留学生は海外での滞在期間が短いために、上で挙げた2つのテストで高いスコアを取る、もしくは帰国生入試の英語試験に対応するのに必要な英語運用能力を習得できていないというケースが多く見られるからです。また、英語運用能力を高めるためには日常生活における英語の使用体験を積み重ねるだけでは不十分だということもあります。
例えば、英語学習の中で意味や使われ方を知っている単語の数を増やしていくことは重要性の高いものですが、ある学術的な調査の結果によれば、英語で行われる会話の80%以上が500語を、90%が1,000語を使って行われるのに対して、英語で書かれたあらゆるテキストのうち80%のものを読みこなすためには2,000語の単語の意味などについての知識を習得していることが必要になります(何を1語と数えるかについては、様々な考え方がありますが、ここで出した語数はその中で最も厳格なワードファミリーという単位で数えたものです。これがどのようなものかということについては、今後、「英語学習の勧め」で説明する予定ですが、日本で出版されている教材の単語の数え方を採用すると、上の語数の2、3倍の数の単語の意味を理解しておくことが必要ということになります)。
このようなことを考えると、高校の授業や日常生活で英語を使う他に、英語の学習をしていかなければならないということになりますが、滞在地で学習を続けていくことには、学習時間の確保以外にも様々な困難があるはずです。特に、何の学習をどのように進めていくかということについては、TOEFL iBTやTOEICのスコアが向上しないなど、その成果が明確にならない段階で迷いが生じるものだと思いますが、あることに迷いや不安が生じると、そこから目を背けてより大きな成果が上がっていると感じられることに没頭してしまうのが人間に一般的に見られる傾向だと思います。
滞在地で受験に必要な学習から逃げないためには、自分の学習上の課題や、能力の伸び方ということについて様々な人を見てきた経験などを多く持っている相談相手がいることが不可欠な条件になります。この点でも、南半球の単身留学生にとっては早い時期から受験準備を始める(=メールなどで連絡すれば、いつでも相談に乗ってくれる教師を見つけておく)ことが重要だと言うことができます。なお、SOLでは、授業を受けていない人からでも教育相談を受け付けていますので、来年度受験予定の人で上述の条件を満たすことができなかった人はそれを利用してください。
それでは、次回は、南半球の高校に通う単身留学生の大学受験に関して、これまでに述べてきたことをまとめておきたいと思います。今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。
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南半球の高校に単身留学している人の大学受験についてvol.14 ―帰国生大学入試についてvol.62―
(2012年1月30日 15:35)