北半球の高校生の受験準備に関してvol.4 ―帰国生大学入試についてvol.143―

(2012年12月27日 18:40)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、アメリカ合衆国以外の教育制度で大学入学資格を得ていても(もしくは、出願手続き期間において得られる見込みであっても)SATを受験しなければならない場合を具体的に列挙しました。なお、これと前々回の記事を合わせて読むと、日本の大学の帰国生入試で出願資格を得るためには自分の高校が採用している大学入学資格を得ていることが必要不可欠であるように思えますが、それは正確な理解とは言えませんので、今回はその点について述べて、2つ目の補足にしたいと考えています。


首都圏の難関大学の中で、高校が採用する教育制度における大学入学資格の取得(もしくは、取得見込みであること)を帰国生入試の出願条件の一つとしているところ(入試要項では明示されていないものの、実質的に出願条件となっているものも含めます)には、書類審査の段階で不合格者が出る国立大学があり、具体的には東京大学や横浜国立大学経済学部がこれに当たります。また、一橋大学を受験する場合にも、大学入学資格取得のための統一試験がある教育制度を採る高校を卒業しているのであれば、それを提出することが望ましいと言えます。


そして、私立大学でも慶應義塾大学や早稲田大学、国際基督教大学(ICU)では帰国生入試の出願が大学入学資格を得ていることを証明できなければ認められませんし(早稲田大学やICUは取得見込みであれば問題ありません)、これらの大学よりも社会的な評価としてすぐ下のグループの中に入っているとされる大学でも、明治大学の政治経済学部や文学部、法学部の入試要項にも同様の内容の規定が見られます(この点に関しては、前回の記事も参考にしてください)。


ただし、上智大学や中央大学、立教大学、青山学院大学、学習院大学など、その他の大学の帰国生を対象とした入試は高校卒業資格を取得できている人に広く門戸を開いています。これに加えて、慶應義塾大学法学部のFIT入試や早稲田大学政治経済学部の「AO方式による総合選抜入試」では、外国の教育制度における統一試験で高い成績を修めていることは出願書類に記載できるものの一つになるものの、出願資格とは何も関係がありませんし、外国語運用能力試験や学校内外の活動などにおける一定以上の実績があれば、アピール材料にも不足はないということになります。


これを見れば分かる通り、首都圏の人気のある大学でも、自分の通っていた高校が採用する教育制度における大学入学資格がなくても受験できるところは数多くあります。受験における選択肢をできるだけ多く確保しておきたい、もしくは慶應義塾大学などに特別に強い思い入れがあるという場合を除いて、TOEFL iBTやTOEICのスコアから英語運用能力が十分に伸びていないことが窺われる人の中には、大学入学資格の取得に向けた学習よりも英語学習に力を入れた方がよいケースがあるということになるのだと思います。


それでは、今回の内容に関して、ご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。


【お問い合わせフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/



トップへ戻る