こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、教員専用のスペースを設けていないSOLの教室が、一人一人の生徒が他の人とコミュニケーションを持つ機会を増大させることにつながっているということを述べました。これは、小論文試験や面接試験のある帰国生入試などの特別入試の受験準備をする場合に大きな意味を持つことだと思いますが、他にもこのような環境が生徒に与えるものがあります。
人間は自分のものとは異なる他人の考えに刺激を受けて、自分の周りに存在する様々な問題に関する考察や理解を深めていくものだと言われていますし、36歳になった僕の今までの生活を振り返ってみた時に、このような人間の特質は間違いなく存在していると思います。そして、その中でも、「この人は真っ当な人間である」という位置付けが自分の中でなされている人の発言は、そこでテーマとなっている問題に対する考察の中でより大きな影響を与えるものになります。つまり、その個人的な視野において評価に値しない、もしくは評価するだけの情報を持っていない人間の考えを真剣に受け取らない(例えば、それが相手の個別的な事情に基づくものであり、一般的な説得力を有するものではないと考えてしまう)ものなのです。
この点、個人の人格には多くの側面があり、始めは「付き合う価値がない」という印象を与えるような人でも、その人との密接な位置で過ごす時間が蓄積されればされるほど、彼/彼女が尊重すべき思考能力や感受性などを有していることに気付かされることが少なくありません。例えば、一昨年、埼玉大学教養学部に入学したB君は、SOLの教室に来るようになった頃、他人を初対面の印象のみで評価してしまい、それに従って交友関係も構築していました。しかし、受講生が少人数で教師と他の生徒が取るコミュニケーションに自分も参加することが容易である環境の中で、それまで自分にとって「価値がある」と思えなかった人と時間を共有するようになって、少しずつコミュニケーションを取る人の幅が広がっていくということがあり、彼が他の人から知的な刺激を受けることもそれに比例して増していったように思います。
このように、他者が教師や周りの生徒とコミュニケーションを取るのを観察する機会があり、その容易に見て取れる表面的な特質以外の部分に対する理解を深められる環境があることは、一人の生徒にとって「傾聴に値する」話をしてくれる人間をできるだけ多く確保し、自分の思考や理解を深めるチャンスを増やせることにつながるのです。そして、人間関係を築く際に上で述べたような姿勢を身に付けていることは帰国生入試などの受験結果やその後の大学生活をより充実したものにする上で大きな価値を有するものになると思います。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.29 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.55―
(2012年12月25日 19:45)