こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、生徒が常時、教師とコミュニケーションを取れるように環境を整備することの一環として、SOLの教室では教員専用のスペースを設けていないということを述べました。これは、書類上の情報や様々な試験のスコアからは分からない生徒が抱える学習上の課題を把握する必要性を考えてのことですが、他にもこのような方向性の下で教室作りを進める理由があります。
以前からこのブログなどでお伝えしてきた通り、日本の大学の帰国生入試やAO入試は小論文試験や面接試験があるのが一般的ですし、出願手続きの際に自分がある大学や学部・学科への入学を希望する理由を日本語や英語で文章化した書類を作成しなければならないものもあります。大学で学ぶのに必要な知識を習得できているかで合否を判定することの多い一般入試と異なり、上のような特別入試制度では年齢相応な思考力や文章読解力があるか否かが試されるのに加えて、ある論題に関しての自分の考えを説得力のある形で伝えるのに十分な論述力が求められます。
「説得力のある文章」というのは、少なくともそれを読んだ人がそこで展開されている見解がこの世に存在しても不合理なことではないと考えさせるものです(読み手がその見解に全面的に賛成してくれれば文章を書くことの目的をより良く達成したことになるのですが、これは誰にとっても非常に高いハードルだと思います)。このような文章を書くには自分の主張の有効性を十分に支持してくれる論拠や具体例を備えていなければなりませんし、そこで使われる言葉や表現が正確にその内容を相手に伝えるものであることが必要になります。
具体的にどのようなものを揃えれば上の条件を満たすことになるかは、何かについて自分が考えたことを他の人に伝えようとする中で、その提示の仕方などに関して試行錯誤する経験を蓄積する中で明らかになるもので、予備校や塾で行なわれる小論文試験対策の授業の内外で実際にまとまった量の文章を書くことはこのような過程には必要不可欠なものです。ただし、それに加えて、自分の周りにいる人との日常的なコミュニケーションの機会を最大限に活かすことができれば、それだけ小論文の内容を充実したものにするには何が必要かということに関する「気付き」を得る機会を増やせることになります。教室内で行なわれるコミュニケーションをそのような条件を満たすものにするために、SOLでは生徒同士の会話にいつでも参加できるような空間を確保しています(と言っても、いつでも堅い話をしている訳ではありませんし、教師が生徒間のコミュニケーションに何でもかんでも首を突っ込むということもありません)。
今年度は元々社会問題に関心の高い人が国立大学などの受験をするために教室に残り、また突然衆議院が解散され、今週の日曜日に総選挙や都知事選挙が予定されていることもあって、朝や昼食を取っている時間などにそれに関連した話題で話が盛り上がることもあります。その中で一人一人の生徒が自分の考えを段々と明確に伝えられるようになるのを目にするのは僕らにとっても大きな楽しみです。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.27 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.53―
(2012年12月14日 15:35)