こんにちは。SOLの余語です。
SOLの帰国生大学受験セミナーでは、7、8月に毎日3、4コマの授業を実施していますが、9月からの時期は授業のある日を1週間に4日(1日3コマ)というスケジュールを組んでいます。ただし、平日の授業がない日と日曜日も教室を開けており、生徒が自習をしたり、僕らに質問や相談をしたりしています。
自習時間において生徒が取り組んでいる重要な学習課題の一つが読書です。帰国生入試やAO入試などの小論文試験は多くの場合、与えられた文章の内容を正確に読解した上で自分の考えを形成することが求められるものになっており、問題文と同等の難易度を持つものにふれる経験を蓄積して、文章読解力をできるだけ向上させておくことが必要になります。また、読書を通して社会や個人が直面している具体的な問題などに対する理解を深めておくことは、小論文の中で具体例として用いることのできる事柄や、抽象的な文章を読み解いていく上で手かがりにすることができるものの数を増やすことにつながります。そして、多様な視点に接することで自分の考えを相対化することは、特に現代社会において、大学受験という人生の一局面に限定されない大きな意義を有するもののはずです。
これらのことを考えて、SOLでは受験準備の期間中にできるだけ多くの本を読むことを推奨していますし、教室内に図書室のようなスペースを設置し、本の貸し出しを行なったり、インターネットの書店に注文した本が早くに配達がなされるような手配をしたりしています。しかし、いざ本を読もうと考えても、そこで問題に直面する人は珍しくありませんし、一人一人が克服すべき課題も異なります。例えば、日本語で年齢相応の文章を読むための語彙や表現で意味が理解できるものの量が十分でないということもありますし、歴史や社会のあり方などに関連する知識が不足している、もしくはほとんどないというケースも見られます。社会的なコミュニケーションにおいて映像や音声が大きな役割を担い、文字によるものもインターネット上で展開されている少ない文字数のものが中心になっていることの影響を受けて、長い文章を読むための忍耐力などが養われていないというのは現代社会特有のものかもしれません。いずれにせよ、本を読みたいという気持ちがあっても、自分から積極的に実行に移すことができない人がいるのは事実です。
このため、どのような本を読むべきかについては、個人の状況に合わせた指導をしています。今年は、岩波新書などで使われている語彙や表現が難しいと感じ、なかなか読み進むことができなかった生徒にまずは岩波ジュニア新書を読むように勧めたところ、内容も理解しやすいため、学問的な内容の本を始めて最初から最後まで読むことができたと喜んでいましたし、その生徒に影響を受けて熱心に読書をする人が教室内で増えたように思います(その生徒が始めに読んだものについて説明するHPへのリンクを以下に貼っておきますので、興味のある人は参考にしてください)。
・堤未果「社会の真実の見つけかた」
・眞淳平「人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ」、「Ⅱ」
それでは、今回の内容に関してご質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.22 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.47―
(2012年11月7日 19:15)