こんにちは。SOLの余語です。
前回は、日本の大学受験に関するメールでの教育相談や個別面談などに関して、受験準備の様々な局面でのサポートをできるだけ広範囲に担当している職員が担当する環境に依頼するべきということを述べました。多くの人はここで得た情報を参考にして、具体的な受験準備を始める前後に受験する大学を大まかに決定するのだと思いますが、この際に予備校や塾で行なわれる指導やサポートについても、前回の記事で示した方向性が適用されなければならないと考えています。
例えば、早稲田大学の帰国生入試では、どの学部に出願しても受験生全員が共通した小論文や現代文、外国語の試験を受験してその結果で合否が決まり(ただし、合否判定に使われる試験の種類は学部によって異なりますし、面接試験があるところではこの結果が合格者を決定するにあたって用いられることがあります)、複数の学部を制限なく併願できるという形で制度設計がなされています。大手の予備校などに通っている人の中には、法学部と文学部、教育学部というように扱われる学問の系統が異なる学部を併願する人がいるようで、進路指導を担当している職員もこれを黙認しているという話を耳にします。
これには、早稲田大学に入学できればどの学部でも構わないという人がいるということもあるのだと考えられます。しかし、このような指導が行なわれる環境では、生徒のサポートにおいて分業制が採用され、授業内で生徒の小論文答案などを見てその学問的適性を判断する機会が与えられていない職員が進路決定のサポートを担当しており、その結果、受験生一人一人に合った道を示すという責務が果たされていないと推測することも可能です。生徒数が多く授業も大人数で実施しなければならない条件の中では、このようなことは致し方ないところだという向きもあるかと思いますが、大学入学後の4年間を自分の適性と合わないところで過ごすことになる学生を生んでしまうという点では大きな問題であると評価すべきでしょう。
また、上で述べたような形で進路指導が実施されることは、各学部で学ぶことを強く希望している人の学習機会を奪ってしまうことにも繋がりかねません。以前に掲載した記事でも説明したかと思いますが、日本の大学の帰国生入試やAO入試は通常の入試と異なり、入学を辞退した人が出た場合に不合格者が繰上げで入学を認められるという制度がないということが一般的です。早稲田大学の帰国生入試にも「繰り上げ合格」の制度はありませんので、自分の学問的適性や将来の志望とは関係なしに複数の学部を併願する人の学力が相対的に高かったために、ある学部への入学を志望するのに実質的な理由を持っている人が弾き出されてしまうということが実際に起きています。これを考えると、帰国生の受験準備をサポートする場において、生徒一人一人に対して十分な思い入れを有していない人が指導に携わっているのではないかという疑念を抱かざるを得ませんし、生徒の学習や進路に関する指導の過程を広く担当する教師がいるところを学習環境として選択すべきなのではないかと思います。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.25 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.50―
(2012年11月26日 14:45)