南半球の高校に通う人の大学受験準備に関してvol.3 ―帰国生大学入試についてvol.132―

(2012年11月22日 14:20)

こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、海外での滞在期間が長い場合でも、特にTOEFL iBTやTOEICといった英語運用能力試験のスコアなどが一定の段階から上がっていかないのであれば、最終学年に入る前の2か月間で行う学習が、日本の大学の受験を考えている南半球の高校生にとって大きな意味を持つということを述べました。オーストラリアやニュージーランド、南アフリカといった国々の高校に通う人には、この期間に多くの授業を組んでいる環境で受験準備を行ってもらいたいと思います。

さて、出願資格を得るための条件の中に英語運用能力試験のスコアや級に関するものがある大学では、TOEFLとともにTOEICが指定されていることが一般的です。オーストラリアやニュージーランドでは、ワーキングホリデーで滞在する社会人がいることもあり、他の国に比べてTOEICの受験機会が多くありますし、その対策学習を行うための語学学校なども多くあります。またTOEICはTOEFLに比べて日常生活で使われる語彙や表現が出題されることがあるテストであり、スコアを上げることが比較的容易であることから、TOEICのスコアに関する条件を満たして帰国生入試やAO入試の出願資格を得ようと考えている人もいるでしょう。

この点、日本の大学では、法政大学のGISのように、TOEICのスコアに関しては日本国内で受験したものしか受け付けないという方針を持つところがあります。また、ICUは入試要項にそのような規定を持つにもかかわらず、実際には海外で受験したものでも受け取ってくれますが、TOEFL iBTのスコアに換算すれば十分に合格可能性があるものを提出し、小論文試験に対応するための高い論述力を有している場合でも、提出したTOEICの成績証明書がオーストラリアなどで受験した時のものである場合に不合格になるケースが見られます。

帰国生入試やAO入試において、英語運用能力試験のスコアの評価を実際にどのように行っているかを日本の大学は公表していませんので、事の真相に関する断言はできませんが、ICUのように帰国生の多い大学では、入学後に学生の英語運用能力と入試時に提出されたスコアなどを比較して、海外で受験したTOEICのスコアに関して、成績証明書に記載されているものをその額面通りに受け取らないと決めている可能性は否定できません。日本で受験する場合と異なり、海外では授業を受けた語学学校などでテストを受験するということが多いですし、答案や試験問題の管理が杜撰で、中には事前に出題される問題を授業担当の教師が知っていたのではないかと思わせるような話も聞きます。

このようなことを考えると、TOEICのスコアを出願時に提出しようと考えている人は、なるべく日本に帰国している時期にテストを受験するように手続きを取っておく必要がありますし、TOEICで一定以上のスコアを取得した段階で(これについては次回以降の記事で述べます)、問題や答案の管理の点で、また英語運用能力を総合的かつ正確に測定できるという点でより信頼性の高いTOEFL iBTに受験する試験を切り替えるべきだと思います。なお、これらのテストの専門家によれば、TOEFL iBTは英語運用能力とは何を指すのかと科学的な知見から追求した結果生まれたものである一方、TOEICは日本の大学生がTOEFL iBTで十分なスコアを取ることができず、学生の間で差が付きにくいといったこともあったため作成されたものだということです。

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