こんにちは。SOLの余語です。
今年も10月に入り、慶應義塾大学や早稲田大学、上智大学、ICUなどの帰国生入試の結果が確定しました。SOLの生徒の受験結果に関しては後日お知らせしたいと思いますが、SOLでは第一志望の大学に合格した場合にはそれ以降の受験を控えるように指導していますので、毎日教室に通ってくる人の数が減ってきています。
さて、「SOL帰国生大学受験セミナーについて」では、以前から「共通小論文」というセミナーの生徒が共通して受講する小論文授業で扱った文章の内容をお知らせしてきましたが、今回の記事では9月3日から14日の間の3回の授業で課題としたものの概要を取り上げたいと思います。
・現代日本のように、生活必需品が消費者に行き届き、また社会が発展したことによる民主化が進展したり識字率が向上したりした結果として少子化が生じた状況では、実質国民総生産の増加という意味での経済成長を実現するのは困難なことであるし、それを目標とすることは人間の生活に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。このため、経済が成長していることを前提としない形で社会制度などを構想しておくべきということを主張するもの。
・臓器移植の必要性が高く評価されるようになったのに合わせて脳死が認められるようになったことで妊娠初期の胎児の位置付けが曖昧になったり、医療技術の発展によって身体に重大な障害を抱えながら生活しなければならない人が増加したりと、テクノロジーが高度化することに伴って新たな問題が生じるという逆説的な状況が見られることを述べるもの。
・生物の世界における多様性を維持するべきであるのと同様に、国際社会において似たような機能を果たすが性質などが少しずつ異なる国家が数多くある方がシステム全体の崩壊の危険性を最小化できると述べた上で、日本が他の国と同様の「普通の国」になるべきという考えには問題があることを指摘するもの。
SOLの小論文授業では、以前の生徒や授業を現在受講している人の答案で何か一つ問題を抱えているものを用いて、皆で答案の検討を行っています。例えば、上に挙げた3つの文章の最も上にあるものを読んで「現在の日本において経済成長を無理に目指すべきではない」という考えを主張する場合には、経済成長を目指すことが困難であることだけでなく、そのような目標に向けた動きが人間の生活を狂わしたり破壊したりすることがあるということをできるだけ具体的に述べるべき(例えば、金銭を媒介とするサービス業の活動範囲を拡大するために人間関係が断ち切られていることを示すエピソードを具体例とするのがよいでしょう)ですが、授業で用いる答案としてはこのような部分が欠けているものを選んでいます。生徒にはその小論文が十分な説得力を持つには何が必要かということを10分程度検討し、自分の考えを口頭で発表してもらいます。そして、それを生徒同士で批評することを通じて、小論文の内容として揃えるべきものについての理解を深めることがこの授業の最終的な目標です。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.17 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.40―
(2012年10月4日 10:55)