こんにちは。SOLの余語です。
前回の記事では、帰国生入試やAO入試などの面接試験に向けたメモ作成や本番の試験に模した練習の中で、発言する内容に具体的なエピソードを適切な形で入れるよう僕らが指導していることを述べました。これは、面接試験が多くの場合、受験者のコミュニケーション能力を測るものであり、面接官と受験者のやり取りが活発になることが望ましいと考えるからです。
この点、最近、就職活動における面接試験で「圧迫面接」という形式で受験者が直面した厳しい状況にどのように対応するかを見るという企業があるようですが、それを意識しているのか、大学の中にも受験者に対して強い態度で面接官が臨むというところがあります。特に、毎年多くの人が受験する上智大学の国際教養学部以外の各学部で実施される帰国生入試の面接試験はこのような傾向があることで有名で、面接官がほとんどの時間で顔も上げることもなく、受験者の話に真剣に耳を傾けているかがよく分からない態度を取るという話をよく聞きます。面接官の態度が受験者に対して非協力である以上、ここでのコミュニケーションを活発にすることは難しいことですし、そうならなかった場合でも必ず不合格になるという訳ではないのですが、受験者の中には自分から会話を展開させることで面接試験でのやり取りを充実したものにしてきた人もいます。
例えば、今年、この大学の経済学部経営学科を受験したS君は、以前に中東の国の中でも日本人があまり多くいない場所に滞在した経験があり、僕らにも授業の内外で現地の状況などについて興味深い話をしてくれました。当然、面接試験でもこのような経験を主なアピール材料とするように指導したのですが、面接官は試験が始まった当初、それに強い関心を持っている態度は示さず、会話も途切れがちになってしまったそうです。しかし、そこで彼は自分から中東で体験した様々な事柄について発言し、それに興味を示した面接官から質問が出るようになり、面接でのコミュニケーションが活発なものになったこともあり、無事に合格することができました。
しかし、受験生の中には面接試験を受験することに強い緊張感を覚える人もいますし、そもそも保護者や近親者以外の大人と自発的な形でコミュニケーションを取ること自体に慣れていない人も少なくありません。これを考えると、実際の面接試験の場でS君のような対応を取ることは難しいように思われます。しかし、前者のようなケースについては面接練習を複数回行なうことで、実際の面接試験においても自分の考えていることをしっかりと伝えることができるという自信を持ってもらうという形で対策を取ることが可能です。また、以前からSOLの教室では、授業を担当している時間以外は教師と共有スペースでいつでも会話することができる教室作りをしていることをお伝えしてきましたが、大人とのコミュニケーションの中で自分から話を切り出す経験を蓄積してもらうことがその狙いの一つです。もちろん、このような環境があったとしても全ての生徒が上で述べたような積極的な姿勢を持って面接試験に臨めるようになるわけではありません。ただし、これまでの生徒を見る限り、この教室に来る前の段階に比べて多くの人が意思疎通に関する能力を高めているように思います。
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帰国生大学受験セミナー通信vol.21 ―SOL帰国生大学受験セミナーについてvol.45―
(2012年10月24日 09:55)