ifで始まる部分がない仮定法の文についてvol.6 ―英語学習の勧めvol.88―

(2011年8月17日 9:40)

こんにちは。SOLの余語です。
「英語学習の勧め」では、ここまで仮定法の用法について説明してきましたが、これが日本語にはない区別(事実に反する仮定とそうでない仮定の区別)に注目したものであることから、その用法を理解することの重要性は英文を書くという場面にあるとするのが一般的です。しかし、英文を読んでいく場面でも、仮定法の用法を理解しておくことは同じように大切なことだと言えるでしょう。

例えば、「日本は国土が大変狭い上に、山などが多く、定期的に地震などの自然災害が起きるので、海に近い土地の利用も制限される。つまり、農地や住宅地として利用できる面積が少ない」というような内容の文章があるとしましょう。そして、これに以下のような文が続くのですが、それがどのような意味を持っているのか、考えてみてください。

Japan would be one of the least populous countries in today's world.

この文の内容が「日本は世界でも人口の最も少ない国の一つであっただろう」であることは、構成している単語や表現を見れば推測できますが、述語部にはwouldが入っていて、最後がin today's worldになっているので、仮定法を用いた文であることも、これまでの説明を読めば、明らかなはずです。

そして、仮定法が事実に反する仮定を表すものであることを考えると、上の文の内容は事実に反することであり、実際には現代の日本が世界の中で最も人口の多い(人口密度が高い)国の一つであるということが理解できます。仮に、この文に内容に関する選択問題が付いていた場合、「日本は世界でも人口の少ない国の一つだ」という選択肢を選んでしまったら(これを選ぶ人はいないと思いますが)、この部分の得点を失うことになるでしょう。

このように、仮定法は反語表現(そこに並んでいる字句とは逆の意味になる表現法)の一つとして使われることがあります。反語表現としての仮定法を用いた文では、筆者が主張しようとしていることとは反対の内容を持つ語句のみが並ぶため、自分に馴染みのないトピックについての文章を読む場面で、仮定法についての理解がないと、筆者の主張を正確に把握することができなくなるわけです。

日本語の文ではよく見られることですが、英語の文でも内容が精神年齢の高い人を対象にしたものになると、文の構造や表現を意図的に複雑なものにするということがあります。大学入試やその後の生活の中で出会う、実際の年齢に相応な文章を読みこなすために、仮定法の用法を確認するようにしてください。

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