こんにちは。SOLの余語です。
ここまで、受身の表現の用法で注意すべき事項を2つ確認してきましたが、帰国生や海外生の人が誤った理解をしていることがあるものは他にもあります。今回は、その点について確認しておきましょう。
英文法のテキストなどを読んでいると、受身の表現には「be done ~ by …」という定型があり、by以下でその文で表されている動作を行った人やものが続くとされています。このような型に沿った文は、英文を読んでいると確かに最も多く見かけるもので、英語を実際に使うという体験から英語の運用法を学ぶことの多い帰国生や海外生の中には、受身の文で行為の主体となる人やものを表す箇所を必ず「by …」とする人がいます。
しかし、受身の文で示される行為などの主体を表す場合に使うのは、byだけではありません。それは、次のような例文を見るとわかります。
The floor was covered with bits of broken glass.
この文は元々、Bits of broken glass covered the floor.という文が受身の形になったもので、上の型に当てはめると、受身の形ではない文で主語だったbits of broken glassの前にbyが置かれるはずです。しかし、実際には、その箇所にwithが置かれていることが確認できると思います。
なお、coverのように、受身の文でby以外の語を使うものには、knowやsurprise、astonish、composeなどがありますが、どの動詞がどの前置詞を組み合わせて使われるのかということ(surpriseであれば、be surprised at)を暗記するということが広く行われているようです。しかし、上で挙げた語を受身の形にする場合でも、byが使われることもあります。
One after another the stars in the west were covered by the cloud.
She was very surprised by a knock at the door.
受身の文にした時に使われる前置詞は、場面や表したい意味によって様々です。例えば、ある行為や意識のある人、ものが文で表される行為の主体なのであればbyが使われることが多いですし、何かを認識した時点である状態になったのであればatが置かれます。このような使い分けは、それぞれの前置詞が持つ本来的な意味から理解ができるものですし、一つ一つの前置詞に関してある程度の規則性が見出せるもののはずです。
I was astonished at finding myself behaving in this way.
Water is composed of hydrogen and oxygen.
He was known for his advocacy of states' rights.
このような前置詞の意味を確認しながら学習を進めていく方が効率的ですし、誤りの少ない形で受身の文を作れるようになるはずです。辞書などでどの動詞とどの前置詞がセットになるかを確認し、さらにある前置詞がどのような場面で使われるのかを考えるようにしてください。
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受身の表現の注意点を確認しておきましょうvol.3 ―英語学習の勧めvol.66―
(2011年5月27日 14:00)