こんにちは。SOLの余語です。
「英語の学習の勧め」では、前回まで日本語を母語とする人にとって最も理解することが難しい時制表現である現在完了形の用法について説明しました。しかし、完了形は現在完了形だけではありません。今回は、その1つである過去完了形(the past perfect)の使い方について確認したいと思います。
帰国生や海外生の書いたエッセイなどを読むと、現在完了形(have done)で書くべきところが、had doneという過去完了の形で書いてあるということが多くあります。この2つの時制表現は、それぞれhaveとhadという形の違う語が伴っているため、意味することが異なるということが推測できますが、その違いは以下の2つの例文を見てもらえば明らかになるでしょう。
She has been in Australia since she entered a university there.
She had been in Australia for 20 years when we went there for the first time.
上の現在完了形の文は、「彼女はオーストラリアの大学に入学してから、現在までそこに滞在し続けている」という意味であることは前回までの記事を読んだ人ならわかると思います。つまり、「彼女」は大学に入学するためにオーストラリアに行って、そこに今も住んでいるという、過去から現在まで引き続いて存在する状態について述べているわけです。
一方、下のhad doneの形になっている過去完了形の文は、「私たちが初めてオーストラリアに行った時、彼女はそこに20年滞在していた(「滞在しているとのことだった」という日本語の方が自然ですね)」ということを表すものです。つまり、「私たちがオーストラリアに初めて行った時」という過去のある一時点まで20年間、「オーストラリアにいる」という状態があったことを意味しているということになります。
ここまで説明した時点で、現在完了形と過去完了形の違いについてピンと来た人がいるかもしれません(もちろん、元々理解しているという人もいることでしょう)。2つ目の過去完了形を用いた文は、過去のある一時点よりも以前から存在していて、その時点にも引き続き存在している状態について述べているわけですが、それは過去から現在まで存在し続けている状態を示す現在完了形の「過去形」になっているのです。
ということは、前回までの現在完了形の用法についての説明の「現在」とか「現時点」といった言葉を、「過去のある一つの時点」という言葉に置き換えてもらえば、そのまま過去完了形の用法についての説明になるということになります。以下に、現在完了形の「経験用法」、「完了用法」、「継続用法」に対応した例文をいくつか辞書から引用しておきますので、一つ一つの文の意味を確認するようにしてください。
I had seen Westminster Abbey in London before I was ten years old.
I had met her two years before, so she wasn't exactly a stranger to me.
When I went to see Mr. Bush, he had gone out of the office already.
The baseball game had already started when we arrived at the ballpark.
The ship had drifted for three days when it was found.
なお、過去完了形の用法は、今回説明した現在完了形の「過去形」だけではありません。英文を読んでいるとより頻繁に見かける使い方がありますので、次回の記事ではそれについて説明したいと思います。
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過去完了形(the past perfect)の用法を確認しましょうvol.1 ―英語学習の勧めvol.58―
(2011年4月22日 14:40)