こんにちは。SOLの余語です。
前回は、動詞に関する文法的な事項の中で、早稲田大学や立教大学の英語試験の文法問題でよく出題されるものについて説明しましたが、動詞についての頻出問題は他にもあります。今回は、前回の記事に引き続き、帰国生や海外生が誤った認識を持つことが多い、「提案する」という意味のsuggestの用法を確認しておきたいと思います。
さて、皆さんは以下の文で空欄になっている箇所にtakeという動詞を入れるとしたら、どの選択肢を選ぶでしょうか。
Her psychiatrist suggested to her parents that they ( ) her back to Nigeria for a long holiday.
(a) would take
(b) took
(c) take
(d) will take
この文では、精神科医が彼女の両親にthat以下で示されているような提案を行ったのは今より前のことであることが、suggestがsuggestedという形になっていることからわかります。そこから、takeも過去の事柄を表すtookという形にすべきと考える人がいると思います(実際、帰国生や海外生の多くはこの形にします)。また、彼女をナイジェリアに連れて帰るのは、このような提案がなされた時点よりは後のことなので、would takeとする人やwill takeとする人もいるかもしれません(ここで挙げた2つの表現のうち、後者を選んだ人は英文法の学習を行う必要性が高いと言えるでしょう)。
しかし、ここでの正解は(c)のtakeです。これはsuggestしているthat以下の内容がまだ事実になっておらず、頭の中にあるものであるため、それを表す表現のルール(この文法事項も重要ですので、後日説明します)に従った形にしなければならないからです。この場合、英語では文の述語となる動詞を辞書の項目となっている形(これを文法用語では原形と言います)にしなければなりません。ですので、suggestを「提案する」という意味で用いる場合には、that以下の述語となる動詞を原形にするか、should takeという形にしなければなりません。
これと同じように用いることが文法的に正しいとされている動詞は他にもあり、proposeやrecommend、demand、「要求する」という意味のinsistなどがこれに当たります。以下に例文を辞書から引用しておきますので、確認してください。
He proposed that they should all go out for dinner.
He recommended that the prisoners be released immediately.
She insisted that he be invited to the party.
なお、この点については、海外に滞在した期間が長い人でも誤った形で理解していることが多くあります。英語圏では文法をシンプルな形に変容させる傾向があるので、現在の口語では上で説明したルールを無視しても問題にならないのかもしれませんが、書き言葉の世界では依然として守るべき文法事項とされています。今回説明したことから、文法学習の必要性に対する認識を深めてもらえればと思います。
それでは、今回の記事について質問などがありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。
【お問合せフォーム】
https://www.schoolofliteracy.com/contact/
動詞に関する知識でよく出題されるものについてvol.2 ―英語学習の勧めvol.43―
(2011年2月16日 14:25)