こんにちは。SOLの余語です。
前回は、最近、日本の大学が(特に、海外の高校を卒業した)帰国生の受け入れに消極的な姿勢を取るようになっていることを述べました。これは、海外での滞在期間の短い単身留学生にとって影響の大きなものですが、これらの人が日本の大学への入学を目指す上でのハードルをより一層高いものにするのは、前回の記事で説明した傾向だけではありません。
今年、帰国生大学入試を受験したSOLの生徒から聞いた話なのですが、青山学院大学や学習院大学、中央大学などの受験会場に、これから試験を受けるとは思えないほどリラックスした受験生が多くいたそうです。そして、そのような受験生と話をしてみると、彼らは慶應義塾大学や早稲田大学、上智大学などを第一志望としており、しかもすでにそれらの大学に合格しているという答えが返ってくることが多かったとのことでした。
首都圏の有名私立大学や、横浜国立大学、名古屋大学、北海道大学といった国立大学を、その後にある東京大学や京都大学、一橋大学を本命と考え、本番前の練習や本命の大学の受験に失敗してしまった際の「滑り止め」として受験するという人がいるのは、以前から知っています(合格を出した人の大半が実際には入学しないため、名古屋大学は帰国生入試を来年度から廃止するようです)。本当に入学を希望する人がいる大学の入試を模試のように扱うのは許されない行為だと思われますが、本命の大学の入試を受ける前に入学できる大学を他に確保したいというのは理解できる心情ですし、僕らがこれまでに指導してきた生徒の中にもこのような形で受験生活を進めた人もいます。
しかし、先に取り上げた受験生は、第一志望としている大学に合格しながら、それよりも社会的にレベルが下だと認識されている大学を受験し続けているのです。前島も僕もこのような行動が理解不能なものであると考え、その背景にはどのような事情があるのかということを調べてみました。その過程で、ある大手予備校がHP上などに掲載する受験実績を見栄えがよいものにするために、高い学力がある人に受験料と交通費を払って受験してもらっているという噂を耳にしましたし、本命の大学の合格結果が出る前に受験料を振り込んでしまったため、それがもったいないと感じて受験するという人がいるという話も聞きましたが、事の真相は未だによくわかりません。
ただし、それがどのようなものであれ、一つだけ明確なことがあります。それは、帰国生入試やAO入試のような特別入試においては、このような受験生の行動が他の人の受験を厳しいものにしてしまうということです。次回の記事では、その点について説明したいと思います。
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南半球の高校に単身留学している人の大学受験についてvol.6 ―帰国生大学入試についてvol.53―
(2011年12月6日 16:55)