こんにちは。SOLの余語です。
前回までは、英文法の学習が海外生や帰国生にとっても必要なものであることを説明してきましたが、どのような分野をどのように勉強していくかという具体的な話をする前に、それを行う際の注意点を確認しておきたいと思います。
早稲田大学や立教大学、駒澤大学などの帰国生入試では、英文法についての問題が出題されますが、その対策のために体系的な学習をしようとする人からテキストや学習法についての質問を受けることがあります。そのような時に、「解答や解説に書いてあることが『しっくりこない』と感じても、とりあえず自分の感覚が間違えていると仮定して、その内容を理解するように努めることが重要だ」と、僕は答えるようにしています。
ある単語や表現がどのような場面で使われるかということに関する、この「しっくりくる」「しっくりこない」といった感覚は、英語を使用した経験の蓄積から生じるものですが(ということは、海外生や帰国生特有のものと言うことができると思います)、じっくりと考える時間がない会話の場面ではとても重要なものです。また、どれだけ真剣に勉強しても、英文法の全ての分野をふれることは難しいでしょうし、次の例文で、
例文① |
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by the armの部分がなぜby my armにならないのかが説明できないように、英語には(その他の言語でも同様ですが)成り立ちがよく分からない慣用的な文法的ルールが存在します。このようなものには上で述べた感覚を使って対処するしかないでしょう。
しかし、テキストの中で論理的に説明されている部分においてまで、このような感覚を優先するということになると、文法の体系的な学習をする意味(自分が経験的に正しいと考えるものと一般的に正しいとされているもののズレを矯正すること)がなくなってしまいますし、そもそもこのような学習をしようとするモチベーションの低下につながる恐れもあります(正しいものは自分の頭の中に既にあるということですから)。テキストの解説と自分が感覚的に理解しているものが異なっている場合には、自分の理解の方が誤っているという前提に立って、解説の内容に真摯に向き合うようにすべきでしょう。
とは言っても、このように頭の切り替えることは、最初のうちは難しいことだと思います。それが簡単なことであれば、海外生や帰国生で英語ができない人は問題を抱えることはないはずです。実際に僕らの生徒の中にも、いつまでたっても「この答えはしっくりこない。この問題集の作成者は本当の英語がわかっていない」と言う人がいます。そのような場合には、辞書を使って、自分の感覚が正しいのかということについての裏付けを徹底的に取るようにすることを、僕は勧めています。こうした取り組みによって、辞書に書かれていることを確認したり理解したりしようとする姿勢を持つようになれば、それは最終的に、自分の持っている「文法感覚」を磨くことにつながるはずです。
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