文法を学習することの必要性を確認しましょうvol.2 ―英語学習の勧めvol.30―

(2010年12月13日 14:07)


こんにちは。SOLの余語です。
前回は、英語の文法学習の必要性について説明しましたが、今回は、海外生や帰国生がどのように英語を学習していくのかという観点から、その必要性についての話をしたいと思います。

僕はこれまで様々な学年の海外生や帰国生の授業を担当してきましたが、そこで出会った生徒たちは、(少なくとも周りの人が英語を使っている環境の中に入った当初は)自分が英語を話したり聞いたりした経験の蓄積から、英語の文がどのようなルールで成り立っているのかを理解しようとします。そして、自分の母語である日本語は実際に使用することを通じて習得できたのだから(多くの日本人は中学校で日本語の文法を体系的に学習する前に、大半の文法事項に関する正しい理解を持っています)、英語についてもそれが当てはまるはずで、文法については体系的に学習する必要はないと考える人も多くいます。

しかし、前にも述べましたが、言語に関する特別な才能やセンスに恵まれている人(このような人が少数ではありますが、存在していることも事実です)を除いては、年齢が5歳を超えてしまうと、言語を使用した経験の蓄積から、その文法を体系的に整理していくことが難しくなるというのが、最近の脳科学的な通説だそうです。つまり、5歳以上の人間にとっては、母語と同じように外国語を習得することは不可能に近いのですから、海外生や帰国生であっても、英語は外国語であるということを受け入れて、学習をする機会を持つ必要があるということになります。

また、このような科学的な知見に頼らなくても、全ての日本人が文法的に正しく日本語を使えているのかということを考えれば、英語を話したり聞いたりした経験だけから、英語がどのような言語であるかということを理解しようとすることには問題があるということがわかってもらえるはずです。後に残る書き言葉に比べて、その場限りになることが多い話し言葉では、それを使用する人間の文法的正しさに対する意識が低いものになる傾向があるのですから、自分の周りにいる人々が正しい英語を話しているという保証(もしくは、自分の話している英語が正しいものであるから、相手が理解してくれたという保証)はありません。日常的なコミュニケーションをとることだけを考えるのであれば、このような保証がなくても全く問題はありませんが、英語を正しく読んだり書いたりする能力を習得したいのであれば、やはり体系的な学習をし、自分の理解に誤りがないかどうかを確認する機会を持つべきでしょう。

なお、体系的に学習しなければならないとは言っても、日本語で書かれた英文法のテキストを必ず使用しなければならないというわけではありません。使いやすいと感じるのであれば、英語で書かれたものでも構いませんし、文法のテキストに書かれている知識全てを吸収していなくても、英語の読み書きはできるようになりますので(特に、日本語で書かれたものには、日本の高校や大学受験のための「トリビア」的な知識が多く含まれています)、TOEICやTOEFL ITP対策のテキストを読み、空欄補充問題や正誤問題の演習を繰り返し行うという形で学習を進めていくというのでもよいと思います。自分に合った学習法を見つけるように心がけてください(今後、このブログでも学習法や学習すべき分野についての記事を掲載していきますので、参考にしてください)。

それでは、今回の内容に関してご質問などありましたら、以下のフォームよりご連絡ください。

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