こんにちは。SOLの余語です。
これまでは、「英語学習の勧め」として英語の単語や成句表現の学習の必要性やその望ましい方法論について説明してきましたが、今回からは文法の学習について述べていきたいと思います。
文法の学習が必要だという話をすると、海外生や帰国生の場合、嫌悪感を示す人や「海外で無事に生活できているんだし、自分にはそんなもの必要ない」と考える人が多くいます。また、TOEFLや前に紹介した早稲田大学や立教大学などの帰国生入試において、文法事項についての理解を直接的に問う問題が減少している(もしくは、全くない)ということを考えると、文法について体系的に学習する必要性が低下しているようにも思えます。
しかし、そのような状況があっても、英語の文法を体系的に理解することが必要であることには変わりがありません。文法は一つの単語や成句表現、文と他のものの結びつきに関するルールです。このようなルールについての正しい理解がない状態では、英語に接する際に様々な問題を直面することになります(日本語を母語にする人は、日本語の文法に関して学習をすることがなくても、文章を正確に読み書きすることができます。しかし、それは母語にのみ見られる現象です。これについては次回の記事で説明します)。
例えば、次のような英文を読む時に、
例文① |
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この文を構成する様々な要素の関係がわからなくても、sculpture、create、famousといった単語の意味さえわかれば、「この彫刻が有名なアーティストによって作られたものなのだ」ということが想像できるはずです。このように、意味がわかる単語や成句表現を拾っていって、その集合と自分の頭の中にある知識などに照らし合わせる形で、文の内容を推測するという文の理解の仕方は、海外生や帰国生の中で広く見られるものです。しかし、こうした「拾い読み」的な手法は例文①のような構造が単純な文では通用しても、複雑な構造を持つものを読む場合には通用しません。例文②を見てください。
例文② |
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この文の内容を正確に理解するには、A, B, and C(AとBとC)といった文の要素の並置の仕方や、この文の中でusedという語が果たす役割といった文法的な知識が必要です(この文の場合にはその可能性はそれほど高くないと思いますが、文の構造を正確に把握できないことは、文の内容を異なるものとして捉えることにつながることがあります)。
複雑な構造を持つ文を書いたり読めたりすることが「知的であること」の一種の証明であると考えられている英語圏の学術的な文章では、例文②のような文章を多く見かけますし、TOEFLやSATでもそれは同じです。帰国生大学入試で受験することが必要になる様々な英語試験でよい成績を上げるために、英語の文法を体系的に学習する機会を持つようにしましょう。
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