こんにちは。SOLの余語です。
前回まで、今年帰国子女枠入試で大学受験を考えている人が帰国までにやるべきこととして英語学習の必要性を説明してきましたが、僕らは来年以降に受験する予定の人も日頃から英語の学習を行うべきだと考えています。今回と次回では、なぜ英語圏の現地校やインター校に通い、学校の授業などで英語にふれることの多い人が英語の学習をすべきなのかを説明したいと思います。
まず、英語運用能力とはどのようなものなのでしょうか?
先日、英語学習法に関しての書籍を出している京都大学の青谷正妥准教授(http://aoitani.net/aotani-KKyoto.html)の、TOEFLのスコアアップのためにどのような学習をすべきかということに関するセミナーに参加してきましたが、自分の今までの指導経験からうなずけることが多くありましたし、勉強になることもありました。その中で、彼はこの問いに以下のように答えていました。
「英語運用能力」=「単語・表現や文法に関する知識量」+「それらを実際に活用する能力・感覚」+「トピックに関する知識」
そして、英語運用能力を自転車に乗る能力を喩えて、「単語・表現や文法に関する知識量(以下、知識)」を「自転車の構造に関する知識」、「それらを実際に活用する能力・感覚(以下、活用力)」を「自転車に乗る際の体の動かし方」としていましたが、実際に英文を一つ例に挙げてこれらはどのようなことを意味しているのかを説明してみましょう。
I was so amazed and my eyes so confused that finally I had to pull off the freeway and creep slowly into the parking lot of a service station.
この文の意味を理解するには、so ~ that …という表現についての「知識」がなければなりませんが、その「知識」がこの文を見たときに活用できないと、文の意味を正しく理解することは出来ません。つまり、この表現が、
I was so amazed and my eyes so confused that finally I had to pull off the freeway and creep slowly into the parking lot of a service station.
というように使われているということを見抜く「活用力」がなければ、この文が「私は大変驚き、目の動きも混乱したものになってしまったので、結局高速道路を下りて、ゆっくりとガソリンスタンドの駐車場に車を乗り入れなくてはならなかった。」を表していることが分からないということが考えられますし、分かったとしても何度か読み直し、それぞれの語の関連性を考えるのに時間を使うことになるでしょう。それでは、TOEICやTOEFLなどの厳しい時間制限がある試験のスコアは上がっていかないはずです。
海外の高校に通っている人は学校生活などで「活用力」を磨く機会に恵まれています。このような能力は、英語を実際に使った経験の蓄積が増えれば増えるほど伸びていくものだからです。しかし、「知識」がなければ「活用力」の向上も一定のところで停滞してしまうことになります。上の自転車の例に戻れば、自転車の構造をよく知らなければ、より速く、もしくはより疲れない形で自転車をこぐために理想的な体の動かし方ができないのと同じです。
このような「知識」と「活用力」の相関関係に加えて、「知識」が脳に定着するには長い時間がかかりますし、それを使う機会を多く持つことが「活用力」の向上には不可欠であること、そして限られた期間で体験的に吸収する英語では知識の抜けがどうしても生じてしまうことを考えると、海外にいることで得られる特権的な機会を十分に活かすためには、なるべく早い時期に英語の体系的な学習に取り組み始める必要があります。
後日詳しく説明しますが、英語運用能力が高いものになることは、TOEIC・TOEFLやSATなどの様々な統一試験や学校の成績のアップにつながり、それは帰国子女枠で大学受験をする際に有利に働きます。また、日本にしか住んだことのない人には見られない能力を得ることによって、その後の人生の選択肢も飛躍的に増加する可能性も高いはずです。少しずつでもよいので、英語を体系的に、また長期間にわたって継続的に学習するようにしましょう。次回は、受験学年外の人にとって英語の学習をすることが重要であることを別の観点から説明します。