現代社会では、グローバル化や情報化の進展など、これまでに見られなかった変化の中で、その状況に柔軟に対応できるような、自ら学び自ら考える「強い個人」が求められていると言われますが、実際の社会制度も、規制緩和などを通してそのような個人に適合したものに改められつつあります。このような社会的変化を抜きにしても自律的な個人であることは、人間が生きていくうえで大きな財産になることは間違いありません。
このような考えを受けて、「ゆとり教育」を軸とした教育制度改革が行われました。しかし、それは生徒の基礎学力の低下につながっただけではなく、生徒の関心や個性をあるがままの形で過度に重視してしまったが故に、子どもに社会的関心を持たせたり、思考の幅を広げるという形での人間的成長を促したりすることに関して期待された成果が上げることができませんでした。
一方で、旧来から言われている通り、大学入試を頂点とした一般的な進学システムも「強い個人」を育てるための教育制度としては不適当なものです。知識量偏重型のシステムは基礎学力の定着を効率的に実現するかもしれませんが、人間が生きていく上で必要なのか疑わしい細かな知識や解法パターンの暗記にエネルギーが注ぐことにつながり、子どもに自ら考えようという意欲や余裕を与えないからです。
この点、注目に値するのが、小論文、英語を試験科目の中心とする帰国生入試やAO入試、自己推薦入試です。これらの入試形態は大学生の学力を下げたと批判されがちですが、社会問題や社会・人文科学的な問題に関して自らの意見を述べる小論文試験の対策をすることは、自分の立場を形作ろうとする過程で、様々な文献を読んだり、周囲の人々と交流したりすることによって、思考の幅を広げることにつながります。また、英語試験は通常、TOEFLなどで見られるような社会・人文科学的な文章が出題されるため、その対策を行うことは生徒の精神年齢を上げるだけでなく、グローバル化した社会の中で「強い個人」として活動するために必要な実践的な英語運用能力を習得することに繋がります。
我々は、以上のような考えから長年にわたって、帰国生教育専門機関JOBAで帰国生向けの大学入試対策授業を行ってきました。今まで500人以上の生徒が我々の指導を受けましたが、滞在歴や滞在国での学習・生活状況は生徒によって様々で、それに合わせて精神年齢の発達度も一人一人異なります。このように背景や素質の大きく異なる生徒一人一人に対応する中で、年齢相応の小論文を書く力や英語運用能力を向上させる手法についての考察を深めることができましたし、また帰国生大学入試では避けて通れない複雑な出願資格条件に関する知識を蓄積することができました。
School of Literacy(SOL)では、これまでの経験や知識を活かして、また生徒が自律的な個人へと成長するために必要な教育内容や環境に関する我々の考えに沿った形で、帰国子女枠大学入試、AO入試、自己推薦入試を受験する生徒をサポートし、一人でも多くの生徒が「強い個人」になるための手助けをしていきたいと考えています。